HEAAL研究:ACE阻害剤不耐性心不全治療に対するLosartanの用量依存的効果確認治験

Angiotensin-receptor blockers (ARBs)は心不全治療に有効だが、用量と臨床的アウトカムの相関は研究されてなかったため、高用量・低用量losartanで、心不全患者の臨床的アウトカムを比較

左室駆出率減少、ACE阻害剤の不耐性例で、Losartan 150 mg は、50mgに比べ、心不全患者の死亡・入院を減らした。臨床的ベネフィットを考えれば、up-titratingが大事。


Effects of high-dose versus low-dose losartan on clinical outcomes in patients with heart failure (HEAAL study): a randomised, double-blind trial
The Lancet, Early Online Publication, 17 November 2009
doi:10.1016/S0140-6736(09)61913-9


30ヶ国255施設、二重盲検、3846名の心不全患者(NYHA II-IV、LVEF 40%以下、ACE不耐性患者)
losartan 150 mg (n=1927) と 50 mg daily (n=1919)割り付け

β遮断剤治療の有無によるセンター層別化ブロック・ランダマイゼーション戦略


フォローアップ中央値 4.7年(IQR losartan 150mg 3.7-5.5年、 losartan 50mg 3.4-5.5年)
死亡:150mg群 828(43%) vs 50mg群 889(46%)(hazard ratio [HR] 0·90, 95% CI 0·82—0·99; p=0·027)


2つのプライマリエンドポイント構成に対し、150mg群では 635名、50mg群では 664名死亡 (HR 0·94, 95% CI 0·84—1·04; p=0·24)

心不全に対し 450 versus 503 (0·87, 0·76—0·98; p=0·025)



腎機能障害 (n=454 vs 317)、低血圧 (203 vs 145)、高カリウム血症(195 vs 131)が50mg群より150mg群で多いが治療中止に至る副事象では有意ではなかった。

# by internalmedicine | 2009-11-21 11:04 | 動脈硬化/循環器 | Trackback

LARGE トライアル:β受容体多形型にかかわらずLABA有効

序文を見ると、β2-adrenergic receptor (ADRB2)の単一核酸多形型で、白人で0.4%のalleleである16番アミノ酸のGlycineからArginineへの置換は、後顧的研究で、吸入ステロイドや短期作動β2作動薬salbutamolなどのβ2アゴニストのなどの定期吸入にてGly/glyよりArg/Arg homozygousで肺機能低下と関連するとされ、他の研究ではArg/Arg genotypeのsalmeterolにはないsalbutamolの定期使用による急性悪化のリスク増加が報告されていた。

B16 Arg/Arg と B16 Gly/Gly genotype喘息患者は両群とも、”salmeterol +吸入ステロイド” が吸入ステロイド単独より気道機能改善をもたらす・・・故に遺伝子型にかかわらずLABA+ICSしろってことらしい・・・

Effect of β2-adrenergic receptor polymorphism on response to longacting β2 agonist in asthma (LARGE trial): a genotype-stratified, randomised, placebo-controlled, crossover trial
The Lancet, Volume 374, Issue 9703, Pages 1754 - 1764, 21 November 2009

16番アミノ酸のアルギニンhomozygous (B16 Arg/Arg) 置換はglycineのhomozygous (B16 Gly/Gly)より、LABA+吸入ステロイド治療のベネフィットが、少ないこと報告されていた。
多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照化トライアルにて、B16 Arg/Arg (n=42) or B16 Gly/Gly (n=45) genotypeにより、コンピュータランダム化sequenceにてinhaled longacting β2 agonist (salmeterol 50 μg twice a day) or placebo を割り付ける。
プライマリエンドポイントは、PEFで、ITT解析。

18週間治療後、平均朝PEFは、プラセボ割り付けよりsalmeterol割り付け群で、21.4L/min(95% CI 11.8-31.1)高い (p<0·0001)

Gly/Gly 被験者では、朝PEFは、プラセボ割り付けよりsalmeterol割り付け群で、21.5L/min(11.0-32.1)高い(p<0·0001)

PEFの改善は両genotypeにて差がない(difference [Arg/Arg—Gly/Gly] −0·1, −14·4 to 14·2; p=0·99)

Gly/Gly被験者で、メサコリンPC20(FEV1 20%減少、事前特異セカンダリアウトカム)はサルメテロールで、プラセボより、2.4倍高い(p<0·0001)


Arg/Arg被験者では、メサコリン反応性はサルメテロールとプラセボに差は認めない (p=0·87)

メサコリン反応性のgenotype-specificな違いは2.5倍に及ぶ (1·32 doubling dose difference between genotypes, 0·43—2·21, p=0·0038).

7名のArg/Arg被験者(プラセボ n=5、サルメテロール n=2)と6名のGly/Gly被験者(プラセボ n=3、サルメテロール n=3)は喘息急性悪化

5名の重篤副事象報告、1例はオープンラベルの吸入ステロイドpre-matchやrun-inフェーズで、2例は二重盲検治療下サルメテロール/吸入ステロイド、1例は二重盲検プラセボ/吸入ステロイド
重篤重症イベントは喘息関連、薬剤・施行手技関連では認めず



副産物だろうが、メサコリン反応性がADRのgenotype特異的相違が報告された。
ICS+LABAの理論的サポートがまた一つ追加・・・

# by internalmedicine | 2009-11-21 10:36 | 呼吸器系 | Trackback(1)

論文不正疑惑:COOPERATE研究

http://cardiobrief.org/2009/10/08/lancet-retracts-cooperate-trial-of-dual-ras-inhibition-and-spanks-lead-author-for-serious-misconduct/・・・によれば・・・
COOPERATE 研究はACE阻害剤+ARB併用のACE阻害剤単独に比べての優越性を示した文献であったが。いくつかのレターや追試から疑問が相次いだ。2008年"a letter of concern”発表後、COPEATIVE研究を除外したメタアナリシスを発表したRegina Kunz, Marcel Wolbers, Tracy Glass, Johannes Mannは、
The number and seriousness of the inconsistencies found in the Nakao paper led us to wonder whether it is possible that this is only a case of extremely sloppy reporting or a hint towards more severe problems with the data. In fact we excluded the COOPERATE trial from our meta-analysis on the basis of the implausibility of the data and internal inconsistencies and we mentioned the reason for excluding the study in our review.
と述べている。
Showa University Fujigaoka Hospital学長、Yutuka Sanada主導の調査委員会のレポート

* the trial had not been approved by the hospital ethics committee,
* proper consent from patients had not been obtained,
* the involvement of a statistician could not be verified,
* the trial was not a double-blind study, because Dr Nakao knew the treatment allocation, and
* based on a sample of the medical records the authenticity of the data could not be proved.



Franz Messerli ( CardioBrief )は長くCOOPERATEに関心を持ち続け、単純過ぎる話であり、このトライアルが発表されたとき、RAS二重遮断がファッションであり、そのストーリーに基づいた発表・・・であったと・・・

ONTARGET発表後、dual RAS blockadeはファッションでなくなった。


このようなフェーク論文が発表されたエピソードは、レビューアーやジャーナルエディターは、スピードにばかりとらわれない態度が要求される。


この報道通りだとすれば同意もとらず、倫理委員会も通さず、二重盲検手法も行われず、サンプル自体の存在も不明・・・全くのでたらめが行われていたことになる。


問題となった論文:
RETRACTED: Combination treatment of angiotensin-II receptor blocker and angiotensin-converting-enzyme inhibitor in non-diabetic renal disease (COOPERATE): a randomised controlled trial
The Lancet, Volume 361, Issue 9352, Pages 117 - 124, 11 January 2003



一般ピーポーに目に触れるところとなった・・・
<不正疑惑>日本人医師が著者の論文 英医学誌に03年掲載

11月21日2時31分配信 毎日新聞
 英医学誌「ランセット」に掲載された慢性腎臓病の投薬治療に関する日本人著者の論文に不正の疑いが強まり、同誌が10月上旬に論文を取り下げていたことが分かった。

 論文は03年1月に掲載。筆頭著者の医師が千葉県君津市の私立病院に勤務当時行った臨床試験から、慢性腎臓疾患の患者に2種類の薬を併用する手法が有効とする内容だった。その後、ドイツの研究チームが同様の試験を行い、併用の患者で腎機能が低下する場合があると同誌に報告。医師が論文投稿時に勤務していた昭和大藤が丘病院(横浜市)=03年に退職=で調査した結果、(1)患者から文書で同意を得ていない(2)統計処理の専門家がチームにいない、などの報告をまとめ、同誌が論文を取り下げた。

 医師は取材に対し「患者には治ってほしかったので、併用が有効だと推測される患者をあらかじめ調べて併用群に振り分けた」と話した。【元村有希子】


著者名で検索すると・・・投稿時所属と所属医局は違うような気がするのだが・・・”a Division of Nephrology, Showa University Fujigaoka Hospital, Yokohama, Japan”で投稿している以上、施設の責任は重いだろう。

それにしても、”dual RAS blockade”を褒めそやしてたあの頃・・・多数出没していた講演者たちは・・・いったいどこに行ったのだろう。

# by internalmedicine | 2009-11-21 08:50 | 動脈硬化/循環器 | Trackback

ALLHAT研究:10年後

降圧治療: HCTZ ≠ chlorthalidone・indapamide ・・・ HCTZを第一選択にするな! 2009年 06月 16日

クロルサリドンは・・・入手しがたくなり、まがいもののHCTZ合剤がはびこる世の中・・・

ALLHAT(Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial )の10年死亡率・合併症新規解析

トライアル+死亡・イベント情報にて、心血管アウトカム、たとえば卒中において10年後効果持続してないことが判明した。A/Cの34%心不全増加以外・・・


American Heart Association (AHA) 2009 Scientific Sessions: Abstract 161. (November 18, 2009.)

Medscape(http://www.medscape.com/viewarticle/712724?src=rss

Risk of Total and Cardiovascular Mortality With Amlodipine vs Chlorthalidone (A/C) and Lisinopril vs Chlorthalidone (L/C)

死亡率
A/C 0.98(0.94-1.03) p=.43
L/C 0.97(0.93-1.02) p=.19

心血管死亡率
A/C 1.00(0.93-1.06) p=.89
L/C  0.97(0.90-1.03) p=.33


セカンダリエンドポイント
冠動脈性心疾患(CHD)
A/C 1.00(0.92-1.08) p=.95
L/C 0.98(0.90-1.06) p=.64

入院患者致命的心不全
A/C 1.12(1.02-1.22) p=.01
L/C 1.00(0.91-1.09) p=.94
D/C 1.07(0.98-1.17) p=.13

入院患者致命的卒中
A/C 0.99(0.89-1.09) p=.81
L/C 1.04(0.94-1.15) p=.41
D/C 1.02(0.92-1.12) p=.72



ALLHAT解析の後、日本の様々な教授たちはお笑い解釈していたが、今回も、カルシウム拮抗剤を守るのだろうか?それとも既に、RAS関連薬剤に気持ちが・・・?

# by internalmedicine | 2009-11-20 16:29 | 呼吸器系 | Trackback

カナダ:喘息は入院小児リスク要因、重篤化の意義は不明

WHO(http://www.who.int/csr/disease/swineflu/notes/h1n1_clinical_features_20091016/en/index.html)からリスク最高群として、喘息を含む基礎疾患群が、妊娠者、2歳未満とともに上げられている。
Participants agreed that the risk of severe or fatal illness is highest in three groups: pregnant women, especially during the third trimester of pregnancy, children younger than 2 years of age, and people with chronic lung disease, including asthma.


入院した子どもで解析されたリスク要因が喘息であることは確認されるようだ・・・ただ、重篤化インパクトは不明。

Risk factors and outcomes among children admitted to hospital with pandemic H1N1 influenza
CMAJ 2009. DOI:10.1503/cmaj.091724(pdf)

パンデミックH1N1インフルエンザは季節型インフルエンザより年長(年齢中央値 6.4 歳 v. 3.3 歳)
パンデミックH1N1インフルエンザのうち、基礎疾患を有している例は、46(79%)。
健康だった子どもは12例。
パンデミックH1N1受診の子どもは有意に季節型インフルエンザより喘息を有する子どもで多い(22% v. 6%)
コントロール不良喘息2名、間欠的にのみ吸入薬を使用例は6名
入院期間中央値は4日
ICU受診必要な子どもに比率はパンデミックH1N1と季節型は21%、14%どほぼ同様、人工呼吸は12%、10%でこれも同様
パンデミックインフルエンザ死亡は無く、季節型は1例(0.4%)であった

# by internalmedicine | 2009-11-20 11:37 | インフルエンザ | Trackback

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