エリスロマイシンと心突然死、ワソラン・ヘルベッサーなどのCCBとの併用注意

“エリスロマイシンは、心臓の再分極延長とtorsades de pointesの報告と関連するが、経口エリスロマイシン使用と心臓原性の突然死のリスク増加が2倍見られた。
エリスロマイシンとCYP-450抑制であるワソラン・ヘルベッサーは5倍の増加である。
エリスロマイシンはこれらの薬剤処方患者では使用すべきでない。”という臨床的に重要な報告がNEJMでなされております。


Oral Erythromycin and the Risk of Sudden Death from Cardiac Causes
http://content.nejm.org/cgi/content/short/351/11/1089
Volume 351:1089-1096 September 9, 2004 Number 11
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エリスロマイシン使用者における心疾患による多変量解析補正突然死死亡率は抗生剤治療を受けてない患者の2倍のリスク(発生頻度比 2.01; 95%CI 1.08 to 3.75; P=0.03))以前のエリスロマイシン使用において突然死リスクは有意でない(発生頻度比  0.89; 95%CI 0.72 to 1.09; P=0.26)し、現行のアモキシシリン使用患者でも有意な増加はない(発生頻度比 1.18; 95%CI 0.59 to 2.36; P=0.65).
CYP3A抑制作用を有するものを使用している場合は、使用してない場合との補正突然死比は5倍(発生頻度比 5.35; 95%CI 1.72 to 16.64; P=0.004)
アモキシシリン使用+CYP3A抑制作用薬剤同時使用も、CYP3A抑制作用薬剤の以前使用患者でも、突然死比率増加は見られない。
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解説の所に、同時使用によるによる血中濃度の増加で、QT延長を生じるもので、血中濃度の問題であることとかかれております。また、ベラパミルとdiltiazemといった2つのCCBは、CYP3A抑制作用を有するもので、エリスロマイシンも同様であり、血中濃度増加をもたらす。ベラパミルとエリスロマイシンはP-glycoprotein、薬剤排出ポンプのの器質であり、抑制剤でもある。故に、徐脈、低血圧、ブロック作用を有し、突然死を生じうると考えられる。


<観想>
エリスロマイシンは日本に特有といってもよい、びまん性汎細気管支炎への重要な薬剤です。幸にして、この場合は、少量持続療法が主体で、血中濃度増加してもさほど影響はないものと考えられますが、心電図でQT延長などモニタリングが必要でしょう。




<エリスロマイシンの添付文書をみると、この2つのCCB見事に抜けてます>
○併用禁忌
テルフェナジン
トリルダン
シサプリド
 アセナリン,リサモール
ピモジド
 オーラップ


○併用注意
ジソピラミド
テオフィリン
アミノフィリン
シクロスポリン
タクロリムス水和物
ワルファリン
硫酸ビンブラスチン
エルゴタミン含有製剤
 酒石酸エルゴタミン,メシル酸ジヒドロエルゴタミン
バルプロ酸
フェロジピン
ミダゾラム
トリアゾラム
カルバマゼピン
シンバスタチン
セリバスタチンナトリウム
アトルバスタチンカルシウム水和物
ブロモクリプチン
ドセタキセル水和物
パクリタキセル
塩酸セレギリン
クエン酸シルデナフィル
シロスタゾール
副腎皮質ホルモン剤
 メチルプレドニゾロン等
エバスチン
ジゴキシン
ザフィルルカスト
シメチジン
リトナビル

by internalmedicine | 2004-09-09 14:58 | 内科全般  

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