「男性型脱毛症」診療ガイドライン

科学的根拠があるかはなはだ疑問であった育毛・増毛の宣伝、かなりメディアを用いた宣伝が盛ん。学会としても、ちょっと遅すぎたのではないのだろうか?


日本皮膚科学会・ガイドライン http://www.dermatol.or.jp/medical/guideline.html


残念ながら、ガイドラインを手元に現在入手してないので・・・なんだが、今のところ、新聞記事を参考にしておく。

注記.
加筆部分:ガイドラインは公開されてます
http://www.dermatol.or.jp/medical/guideline/pdf/120091841j.pdf


朝日新聞
http://mainichi.jp/select/science/news/20100414ddm041040130000c.html
魚拓

毎日新聞(http://mainichi.jp/select/science/news/20100414ddm041040130000c.html)から・・
 ◆明確化される男性型脱毛症の対症法◆

<対症法>           <推奨度>

フィナステリドの内服      A

ミノキシジルの外用       A

自毛植毛術           B

医薬部外品・化粧品育毛剤の外用

 ▽塩化カプロニウム      C1

 ▽t-フラバノン       C1

 ▽アデノシン         C1

 ▽サイトプリン・ペンタデカン C1

 ▽ケトコナゾール       C1

 ▽セファランチン       C2

人工毛植毛術          D

 A=行うよう強く勧められる

 B=行うよう勧められる

 C1=行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない

 C2=根拠がないので勧められない

 D=行わないよう勧められる

 (日本皮膚科学会の資料を基に作成)



http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100413/t10013816661000.html
“薄毛”診療にガイドライン
4月13日 19時22分 動画あり

若いうちから額の生え際が後退したり髪の毛が薄くなったりする「男性型脱毛症」の治療の中に、科学的根拠が十分ないものもあるとして、日本皮膚科学会は、どの治療が学会として推奨できるか5段階で評価した初の診療ガイドラインをまとめました。

「男性型脱毛症」は、男性ホルモンの働きによって、20代から40代にかけて額の生え際が後退したり、頭頂部の髪が薄くなったりするもので、育毛剤や飲み薬による治療、それに髪の毛を移植する植毛などが行われていますが、十分な効果が得られなかったり、頭皮が炎症を起こして髪の毛が生えなくなるなどの問題も報告されています。このため日本皮膚科学会では、それぞれの治療にどの程度科学的な根拠があるか、公表されている研究論文を元に、A、B、C1、C2、Dの5段階で評価し、学会が推奨する方法をまとめました。その結果、▽育毛剤については、主成分が「ミノキシジル」の製品のみ「発毛効果に関する良質の根拠がある」として最も高いAと評価し、▽「アデノシン」や「tーフラバノン」などは、髪の毛が太くなるなどの効果が一部の試験で報告されているものの、信頼性の高い試験の数が少ないなどとして「行うことを考慮してもよいが十分な根拠がない」=C1としました。また▽頭の薄くなった部分に後頭部から取ってきた自分の髪の毛を植え付ける「自毛植毛」については、十分な経験と技術をもつ医師が行う場合には、「勧められる」としてBと評価しましたが、▽化学繊維の毛を使う「人工毛植毛」については、皮膚の炎症など多くの有害事象の報告があり、勧められないとしてDと評価しました。これについて、人工毛植毛を行っている大手の会社では「安全性には十分配慮しており、詳しい内容を見て、商品の改良に生かせることがあれば参考にしたい」と話しています。診療ガイドラインを策定した日本皮膚科学会の委員会の代表で、東京医科大学の坪井良治教授は「育毛剤もさまざまなタイプが出ているが、ガイドラインに載っているもの以外は、科学的な根拠がなかった。トラブルが少しでも減るようガイドラインを役立ててほしい」と話しています。学会では、今月下旬からホームページなどを通じてガイドラインを一般にも公開することにしています。




例のテレビCMの多さをみると、民放がこのガイドラインに関し報道することに、及び腰である理由がわかる気がする。


英語ベースのガイドラインを検討すると、2003年に集中的に記載されて以降、特に、目立った動きがないようだ。すなわち、実地的薬剤の開発が沈滞していることなのだろう。

The Cochrane Library [Intervention Review] Interventions for alopecia areata
http://www.mrw.interscience.wiley.com/cochrane/clsysrev/articles/CD004413/frame.html



Guidelines for the management of alopecia areata:British Journal of Dermatology 2003; 149: 692–699.
http://www.bad.org.uk/Portals/_Bad/Guidelines/Clinical%20Guidelines/Alopecia%20Areata.pdf


American Family Physician
Common Hair Loss Disorders [2003]:
http://www.aafp.org/afp/2003/0701/p93.html
Alopecia in Women [2003]:
http://www.aafp.org/afp/2003/0301/p1007.html


The Hair Follicle as an Estrogen Target and Source
Endocrine Reviews 27 (6): 677-706
http://edrv.endojournals.org/cgi/content/full/27/6/677

by internalmedicine | 2010-04-14 15:04 | 医療一般  

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