大うつ病は頭部外傷後の重要な合併症である・・・早期介入により改善の可能性

頭部外傷後のうつ

外傷性脳障害後の入院後フォローにて、Bombardierらは、多構造化電話インタビューを559名の成人患者に試み、1年間で、297名(53%)が大うつ病のクライテリアに一致するようになった。

外傷性脳障害後の大うつ病は、大うつ病の病歴と関連し、HRQOL の独立した好ましくない指標となる。

Rates of Major Depressive Disorder and Clinical Outcomes Following Traumatic Brain Injury
Charles H. Bombardier; Jesse R. Fann; Nancy R. Temkin; Peter C. Esselman; Jason Barber; Sureyya S. Dikmen
JAMA. 2010;303(19):1938-1945.


頭部外傷後後遺症として、身体的障害や認知機能障害にだけ関心が向くが、心理学的障害はdisabilityの重要な原因となり得る。

このMajor depressive disorder (MDD) は、頭部外傷(TBI)の重大要素であるということの認識が重要。



TBI後初年で297/559(53.1%)がMDDクライテリアに合致し、一般の8倍もの頻度
交通事故による受傷男性が対象としてもっとも多く、MDDは、1ヶ月後31%、6ヶ月後21%
TBI後のMDDリスクは、外傷時点、受傷前MDD既往、年齢、アルコール依存度と関連する
MDD無しよりTBI後の不安障害共存はMDDを有する場合に多く、60% vs 7%
MDD患者のわずか44%のみ抗うつ薬やカウンセリングを施されていない。
また、外傷後1年以内のMDD発症は、mobility、通常の活動性、疼痛/不快、機能障害の問題と関連
MDD予測に関する補正後、MDDを有する場合は1年後QOL低下


早期発見・早期治療、特に、3ヶ月以内での、予防効果のある可能性を著者らは分析から示唆。

by internalmedicine | 2010-05-19 09:11 | 精神・認知  

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