COPD患者へのβ遮断剤は心疾患有無にかかわらず有益かもしれない

今回は、β遮断剤使用により、心血管疾患有無にかかわらず、COPD患者は約30%死亡率および悪化を低下させるという大規模コホート研究


COPDとうっ血性心不全:ベータ遮断剤種類による効果と呼吸機能への影響  2010-04-22 など、COPD合併しているいても、β遮断剤使用による効果が、報告されるようになった。

さらに、踏み込んだ報告である。

合併する心血管疾患(CVD、COPD患者では合併が多いとされる)の有無にかかわらず2230名の電子医療記録レビューし、cardioselective β遮断剤使用尾で死亡率低下をもたらすが、COPD flare-upは同様であったという結果。
Frans H. Rutten( オランダ、University Medical Center Utrecht)のArchives of Internal Medicine 5月24日号発表

COPD患者にβ遮断剤を避けるという通常の方法とのガチンコな議論に一定の結論をもたらしたと考えられ、以前から認められたCOPD患者でのベネフィットが確認された格好だが、ランダム化研究でないため、やはり確認が必要であろうと・・・著者らは結論づけている。




Primary source: Archives of Internal Medicine
Source reference:
Rutten FH, et al "Beta-blockers may reduce mortality and risk of exacerbations in patients with chronic obstructive pulmonary disease" Arch Intern Med 2010; 170: 880-87.
これは、後顧的研究という限界はあるが、オランダの23のGPにおける新規あるいは継続中のCOPD患者2230名で、平均年齢64.8歳、53%が男性(1996-2006年)

665名、29.8%でβ遮断剤処方、545名(24.5%)で心臓選択性薬剤使用

7.2年のフォローアップ期間中、死亡 686(30.8%)、1回でもCOPD急性増悪  1,055 (47.3%)

β遮断剤

β遮断剤使用死亡率非補正ハザード比は0.70 (95% CI 0.59 ~o 0.84)、補正ハザード比は0.68 (95% CI 0.56 ~ 0.83)
急性増悪ハザード比は、同様に 27% (HR 0.73, 95% CI 0.63 ~ 0.83) 、 29% (HR 0.71, 95% CI 0.60 ~ 0.83)

propensity score methodにて、β遮断剤に良好・優位なハザード比低下がみられた。
サブグループ解析で、CVDなしの患者では30%-40%の死亡率減少を補正・非補正ともにみられた(0.80 ~ 0.82)。


Additional source: Archives of Internal Medicine
Source reference:
Sin DD, Man SFP "A curious case of beta-blockers in chronic obstructive pulmonary disease" Arch Intern Med 2010; 170: 849-50.




2020年までに西側社会では死亡原因として3番目となりるが、COPDとCVDの合併は診断や基礎疾患のとらえ方に、特に高齢者では混乱をもたらしている (Eur J Heart Fail 2006; 8: 706-11)。
息切れ、倦怠、運動時胸痛もCOPDで生じることがあり、心不全との区別困難な場合も多い。

β遮断剤は、心不全、高血圧、虚血性心疾患などのCVDの場合では多くの効果がある。
しかし、気管支収縮特性とβ2アゴニストの競合的作用を理由に、”COPD患者ではβ遮断剤は避けるべきという、medical dogma”が存在する。しかし、一方、β遮断剤は交感神経活動性最小化、虚血性burden減少によるCOPD患者へのbenefitも存在するだろうという考えもある。


おそらく、COPDでも迷わずβ遮断剤使用って訳にはいかないだろうが、心不全合併および高心拍・脈拍の人では・・・使用を考慮してみたい・・・というか、使用している事例もあるけど・・・

この問題の延長に、”COPDにおけるLABAの取り扱い”の問題がでてくる。

BARECII: スピリーバ+ホクナリンテープvs スピリーバ単独 ・・・意義がよく分からない  2009-11-24・・・において、真に、心血管疾患イベントを考慮しているのか?ホクナリンテープをLABAと称する一部のお偉いさんに道理はあるのだろうか?

一般的に、日本の呼吸器疾患のお偉いさんは、臨床トライアルの取り扱いになれてなようだ。循環器疾患では一蹴されるだろう言動を繰り返す場合がめだつ。たとえば、臨床的アウトカムに関係ないFEV1量増加だけで、優れている薬だと言い放ったり・・・なんだかなぁ・・・という教授さんたちが・・・このβ遮断剤使用に関してどのような奇妙な意見をもちこむだろうか・・・ちょっと楽しみ。




COPD患者における心保護的β遮断剤使用 2008-09-17



β遮断剤種類別有効性に違いはあるか? 2008-12-09


β遮断剤は恐怖反応を消し去る 2009-02-17

by internalmedicine | 2010-05-25 08:30 | 呼吸器系  

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