”血糖の変動”は重要・・・されど・・・

健康成人では正常に保たれているインスリン分泌により血糖の変動が予防されている。しかし、糖尿病患者において、 インスリン分泌異常が病態競り仮定として、慢性の高血糖、急性の日内血糖変動をもたらす。
この血糖異常は、酸化ストレス増加の状態と関連し、血管合併症発症と関連する。

ROS産生のimbalanceが糖尿病の血管合併症と関連し、心血管合併症の病態生理の中心という考えが主





高血糖による血管障害;4つの生化学的候補過程
・ポリオール活性増加し、ソルビトール、フルクトール蓄積
・advanced glycation end products 産生増加
・プロテインキナーゼCとNFκBの活性化
・hexosamine pathway fluxの増加

血管内皮活性化により炎症誘発、増殖、凝固誘発として働き、アテローム蓄積性、動脈狭窄へとつながる。
高血糖は凝固促進を生じ、血栓促進的に働く。

問題の血糖変動だが、これは酸化ストレスと関連し、大血管合併症、特に、心血管疾患と関連し、酸化ストレスが大きく関与
細胞培養によるエビデンスでも、酸化ストレスの正常の防御メカニズムが慢性高血糖状態により傷害されることが示され、間欠的血糖変動にさらされたとき、細胞はさらに毒性増加にさらされることが示されている(Quagliaro L, Piconi L, Assaloni R, et al. Intermittent high glucose enhances apoptosis related to oxidative stress in human umbilical vein endothelial cells: the role of protein kinase C and NAD(P)H-oxidase activation. Diabetes. 2003;52:2795–2804.
、 Jones SC, Saunders HJ, Qi W, et al. Intermittent high glucose enhances cell growth and collagen synthesis in cultured human tubulointerstitial cells. Diabetologia. 1999;42:1113–1119.)。

さらに、rissoらは血糖コントロールの変動はより血管内皮細胞障害を生じることも示した(Risso A, Mercuri F, Quagliaro L, et al. Intermittent high glucose enhances apoptosis in human umbilical vein endothelial cells in culture. Am J Physiol Endocrinol Metab. 2001;281:E924–E930.)。

このような、血糖変動の臨床的重要性エビデンスが累積されているが、臨床データが少なく、基準・定義が確立できない。

Monierは、”mean postprandial incremental area under the curve [AUCpp]”を基準に食後血糖変動を定義付けし、慢性血糖状態より重要な酸化ストレス引き金として血糖変動を示した。
(Monnier L, Mas E, Ginet C, et al. Activation of oxidative stress by acute glucose fluctuations compared with sustained chronic hyperglycemia in patients with type 2 diabetes. JAMA. 2006;295:1681–1687.

Glycemic variability: Too often overlooked in type 2 diabetes?
The Journal of Family Practice Vol. 59 Aug. 2010

by internalmedicine | 2010-08-16 09:33 | 糖尿病・肥満  

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