乳幼児虐待に対する全身MRI:幹骨端病変・肋骨病変に対して低感度

乳幼児・小児虐待疑いに対して、全身MRIが有益か?

Perez-Rossello J, et al "Whole-body MRI in suspected infant abuse"
Am J Roentgenol 2010; 195: 744-750.


21名の乳幼児(0-12ヶ月)を全身MRI
1.5Tで、coronal、sagittal STR sequenceを、初期骨格病変検査とともに行う。
フォローアップ骨格病変検査を16例で行い、"truth"を、初期・フォローアップ骨格病変検査を行い、まとめをする。

骨格病変要約や全身MRIにて骨格シグナル異常167骨折病変・領域を検出
両方とも所見検出 46(27.5%)、要約化骨格病変検査 68(40.7%)、全身MRI53(31.7%)

全身MRIは、要約骨格病変調査と比較して、特異性が高い(95%)だが、低感度(40%)

37の古典的幹骨端病変・幹骨端シグナル異常を同定
両検査:11(29.7%)、要約骨格病変調査 24(64.8%)、全身MRIのみ 2(5.4%)


全身MRIは、骨格調査による古典的幹骨端病変に比較して、シグナル異常同定感度極めて低く31%

全身MRIは、骨格調査における肋骨検査より、感度低く、57%

全身MRIは軟部組織障害、骨格筋浮腫、関節液など特定の場合、付加的骨折を同定するきっかけとなる例がある。



MRI・CTだと見逃しがあるはずがない、他の検査より優れている・・・と、全般的に思い込みがある
放射線被ばくもないし、MRIの方が良さそうだが

体動のため、乳児にMRIをとることは、施行者・非施行側にとってもかなりの負担になる
肝腎の検査感度が低いことから、利用は限定的となるだろう。

by internalmedicine | 2010-08-23 09:08 | 集中・救急医療  

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