2009 influenza A (H1N1) pandemicから得られた教訓

2009 influenza A (H1N1) pandemicから得られた教訓・・・なかなかおもしろい視点の論説だった

反ワクチン運動に洗脳された人たちへの対策、社会行動学的には、説得困難で、あたらしい科学的手法・知見により、ワクチンに対する行動も変化するそうだ・・・

Influenza Vaccine — Safe, Effective, and Mistrusted

Katherine M. Harris, Ph.D., Jürgen Maurer, Ph.D., and Arthur L. Kellermann, M.D., M.P.H.

November 24, 2010 (10.1056/NEJMp1012333)


・ワクチンの開発・製造・分配能力の問題

・ワクチンの安全性確保の問題:急激な大量生産を加速しなければならない中、安全性を確保するという相反する課題

・ワクチンを啓発する公衆衛生キャンペーンにかかわらず、米国でもパンデミックワクチンに対して約20%の人しかワクチン接種受けてなかった(Prev Med 2010;51:185-187)
もっとも驚くべきことに、医療関係者の半数が、ワクチン接種に反対の立場であったこと(Interim results: influenza A (H1N1) 2009 monovalent and seasonal influenza vaccination coverage among health-care personnel -- United States, August 2009-January 2010. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2010;59:357-362)。彼らがもっとも感染に対して弱い患者のすぐそばにいるわけで、感染媒体となる可能性が高いのにかかわらず・・・ということが大問題である

より重篤なパンデミックインフルエンザが蔓延したときに、わずか20%しか、ワクチン接種されないとした、大問題

毎年ワクチンを接種している人たちは当然ながら、パンデミックワクチンに対しても受容性がよく、定期接種受けてない人たちの2倍の接種率
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ACIPでは、インフルエンザワクチンに関しては高リスク群にのみ焦点を当てていたが、ワクチンに対するアレルギーなどの禁忌を持たない6ヶ月齢以上の是認に推奨に変わっている。
この変化が未だ普及されていない。


”How can indifferent or negative attitudes toward vaccination be changed? ”

ワクチンへの無関心、ネガティブな態度をいかにして変えていくか!

Research Portfolio Online Reporting Tool from the National Institutes of Healthでは、、社会・行動科学より、バイオメディカルなトピックスの方が影響を与えると述べている。 cutting-edge laboratory science がワクチンの安全性、有効性に寄与するということが一般に知れ渡ったときにワクチンを喜んで多くの人が受けるようになるだろうと・・・


パンデミック・インフルエンザ: WHO利益相反を公開していない!(2010-06-05)など、WHOなど、従来思われているほどきれいな組織でなく、能力にも、疑問符がつく現在、一般市民がワクチンに対して懐疑的になる気分もわかる。
そもそも、朝日・毎日など日本のメディアは新聞・テレビを通して、反ワクチン運動家たちの意見の方を非対称性に垂れ流し続けてきた経緯がある。”前橋”などを口走るあほ集団の意見など聞く時間さえ無駄なのだが・・・それらに洗脳され、固着され、反ワクチン運動家と化したネット上のモンスターたちも存在する。
かれらを説得する時間や手間よりも、あたらしい知見や技法など科学的イノベーションを勧めた方が、一般市民にとっては幸せなのかもしれない。

by internalmedicine | 2010-11-25 09:35 | インフルエンザ  

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