衛生仮説:トリクロサン高濃度ほど小児のアレルギー疾患増加、成人ではBPAによる免疫系へ影響?

抗菌グッズは無駄だから買うな・・・アメリカ医師会は使用注意を喚起 2004-03-03

・・・というのが、以前報告であったが・・・これと矛盾する形で、トリクロサンに関しては・・・

細菌の活動を抑える目的で抗菌商品に含まれる「トリクロサン」などの化学物質について、「耐性を持つ細菌を生み出す恐れがある」と警告、安易な利用を戒めている。
http://slashdot.jp/science/article.pl?sid=07/08/17/0935218


1%トリクロサン製剤のMRSAに対する効果は4%クロルヘキシジングルコン酸塩製剤よりも優れているとする報告もある
http://www.yoshida-pharm.com/text/05/5_4_3.html


トリクロサンの有効性に関して疑問がもたれている報告もあったと思うが、流れとしては、トリスタンの環境やヒトへの影響に関心がもたれている
http://www.fda.gov/forconsumers/consumerupdates/ucm205999.htm

トリクロサンを含む抗菌石けんの過剰暴露により、アレルギーが多く、成人ではbisphoenol A(BPA)の高暴露により免疫系にネガティブな影響があるのではないかと・・・University of Michigan School of Public Healthの新しい研究。

トリクロサンは、抗菌石けん・歯磨き・ペン・おしめ、医療用のものなど広く用いられている。BPAは、プラスティックに含まれ、食品の缶などにも用いられる。両方とも、endocrine-disrupting compounds (EDCs)とされるが、ホルモン類似・ホルモンに影響を与えるものとされる。
2003-2006年National Health and Nutrition Examination Surveyにより、尿中BPAとトリクロサンとCMV抗体値、アレルギー、花粉症診断を比較検討、アレルギ・花粉症とCMVを指標として検討したもの

結果、BPA暴露の多い18歳以上の場合、CMV抗体高く、細胞性免疫経が正しく機能してない可能性がある。
18歳以下では、トリクロサン高濃度ほど、アレルギー・花粉症の診断頻度が高くなる。

従来考えられていたよりも、ホルモン攪乱物質がヒトにリスクを与えるのではないかと・・・

このトリスタンの知見は、若年者において、いわゆる”hygiene hypothesis"を支持するものであり、免疫系発達にとって、微生物暴露が役割を果たすという考えを支持するものであった。


ただ、causal relationshipを確立したわけではなく、あくまでも仮説を支持する傍証のひとつ

情報ソース:http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-11/uom-sst112410.php
(podcast: http://ns.umich.edu/podcast/audio.php?id=1286


衛生仮説についての話題久しぶりだった。

by internalmedicine | 2010-11-29 17:56 | 環境問題  

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