加齢によるミトコンドリア機能異常;カタラーゼ遺伝子発現制御によるインスリン抵抗性治療の可能性

Yale大学のチームが、ヒト・カタラーゼ遺伝子の過剰発現がミトコンドリア障害や筋脂質の過剰buildupを防御し、加齢マウスのミトコンドリア機能を温存することを見いだした。このメカニズムの解明により、加齢から糖尿病発症の基礎要因である筋インスリン抵抗性発症を防御することとなるかも。

Targeted Expression of Catalase to Mitochondria Prevents Age-Associated Reductions in Mitochondrial Function and Insulin Resistance
Cell Metabolism, Volume 12, Issue 6, 668-674, 1 December 2010



ミトコンドリアにおけるROSダメージの蓄積から、ミトコンドリア機能の低下 (∼30%)、エネルギー代謝低下 (∼7%)、脂質による筋内インスリン抵抗性増加をもたらす

トランスジェニックマウスによる研究で、加齢による筋内のミトコンドリア機能低下が筋内の脂肪蓄積をもたらし、インスリン抵抗性をもたらす。バーチャルにヒトの研究でできないことであった。
エージング関連インスリン抵抗性・2型糖尿病の新しい治療ターゲットとなるだろう。


以前の研究で、同じ、yale大学のチームは、健常であっても35%の筋ミトコンドリア活性低下、筋内の30%の脂肪蓄積、筋肉のインスリン抵抗性増加をもたらすことが示されていた。加齢ラットでの蛋白キナーゼ(AMPK)低下に関する報告である。
Aging-Associated Reductions in AMP-Activated Protein Kinase Activity and Mitochondrial Biogenesis
Cell Metabolism, Volume 5, Issue 2, 151-156, 7 February 2007



筋肉と老化・・・sarcopeniaに概念を広げると、教訓的で、患者指導にも役立つ基礎知識である。

昨日のためしてガッテンの放送内容は良かった。何でいつもこういう具合にできないのだろう。きっと、監修次第なのだろう・・・

by internalmedicine | 2011-01-06 09:50 | 加齢  

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