エベレスト山登山による低酸素の影響:心臓の形態・機能・心エネルギー状況

エベレスト山・山頂で動脈血酸素測定報告が2009年、後述するが、飽和度測定は1990年代。
Arterial Blood Gases and Oxygen Content in Climbers on Mount Everest
N Engl J Med 2009; 360:140-149January 8, 2009

8400mの山頂(気圧 272 mmHg)
・平均動脈血酸素分圧 24.6 mm Hg (3.28 kPa)(19.1 ~ 29.5 mm Hg)
・平均動脈血炭酸ガス分圧 13.3 mm Hg (1.77 kPa)( 10.3 ~ 15.7 mm Hg )


これに近い状況で、心臓の機能・形態にどういうことが生じるか?

C. J. Holloway, H. E. Montgomery, A. J. Murray, L. E. Cochlin, I. Codreanu, N. Hopwood, A. W. Johnson, O. J. Rider, D. Z. H. Levett, D. J. Tyler, J. M. Francis, S. Neubauer, M. P. W. Grocott, K. Clarke. Cardiac response to hypobaric hypoxia: persistent changes in cardiac mass, function, and energy metabolism after a trek to Mt. Everest Base Camp. The FASEB Journal, 2010; DOI: 10.1096/fj.10-172999


低酸素下低酸素血症による心筋機能の障害は心臓の高エネルギーリン酸代謝の変化に基づくと仮説。
健康ボランティア14名を17日間エベレスト山ベースキャンプ(5300m)から帰還後4日、直前を比較。
31P magnetic resonance (MR) spectroscopyを用いて、心臓の phosphocreatine (PCr)/ATPを測定、心臓容積、量、機能をMRIおよび心エコーで評価

エベレスト山から帰還直後、総体重は3%低下(P<0.05)、しかし、左室心筋量/BSA補正で不釣り合いに11%減少 (P<0.05)

心機能は、ピーク左室充満流量減少、僧帽弁流入E/A比がそれぞれ17% (P<0.05) 、24%減少 (P<0.01)。hydration statusは不変。

登山前と比較し、心臓 PCr/ATP比は18%減少 (P<0.01)

高度がさらに増加した場合どうなるかは分からないが、登山前の状態に6ヶ月後は戻った。

心臓形態、機能、エネルギー状態は慢性低酸素状態と同様

心臓PCr/ATPの減少は、酸素利用可能性減少に伴う、ユニバーサルな現象と考えられる。
すなわち、心肺疾患という病的状態でも健康な状態でも生じるということ。



高地順応により、1700フィートの高度で、酸素飽和度は75%程度のはずだが、酸素無しで人は生活している。米国胸部疾患学会のお偉いさん、T. L. Pettyが大好きな、エベレスト山山頂の酸素飽和度;45%(Neuropsychiatric abnormalities in advanced COPD. In Chronic Obstructive Pulmonary Disease (ed. T. L. Petty), pp. 355–373. New York: Marcel Dekker.)。この話が1995年頃。
病院で酸素療法を始めたのは、1885年で、Dr. Geoge Hltrazppleが最初。酸素発見が1774年でヒトに応用するまで100年かかった(http://www.drtompetty.org/Resources/Docs/Adventures%20of%20an%20Oxyphile.pdf)

by internalmedicine | 2011-02-04 11:27 | 環境問題  

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