JAMA誌: アクトスを安易に使うな!

武田薬品は、ロシグリタゾンがこけたから、代わりに、アクトスを使えという広告やキャンペーンを張っている。これらのキャンペーンに安易にのるな!というJAMAの思し召し!


Commentary ONLINE FIRST Switching From Rosiglitazone
Thinking Outside the Class
JAMA. Published online February 8, 2011. doi: 10.1001/jama.2011.193

武田薬品は、ピオグリタゾン、ライバルのロシグリタゾンより安全という広告・キャンペーンを攻撃的、積極的に展開している。いわく、「アクトスは心臓発作や卒中リスクを増加させることなく、血糖を下げる」と。だからといって、その絶対的安全性を担保するものではない。ロシグリタゾン服用者の多くが他の thiazolidinedione (TZD) 、たとえばピオグリタゾンにスイッチすることは必ずしもベストの選択ではない・・・と冒頭。


現時点で、血糖降下剤の長期アウトカム比較として、同一分類薬剤を、他分類薬剤と比較し、選択することに、十分なエビデンスはない(簡単に言えば、薬剤分類で同じだからといって同じ効果が担保されているわけではない)。FDAは、承認されている糖尿病薬剤に対して心血管アウトカムのデータを要求開始している。

”American Diabetes Association and European Association for the Study of Diabetes”では、ライフスタイル修正を伴うメトホルミンが第一選択薬として推奨されている。 UK Prospective Diabetes Studyのサブグループ研究で、心血管イベント減少が確認されている。
故に、もしメトホルミンが禁忌もしくは到達コントロール不良なら、インスリンやスルフォニルウレア剤が2ndラインの治療選択として推奨している。体重増加や低血糖リスクを念頭に置くべきである。
TZDは、糖尿病のwell-validated core therapyとは、副作用故、されてない。ロシグリタゾンもピオグリタゾンも体重増加がみられ、下肢浮腫が多く、骨塩減少や骨折のリスク増加を女性で促進させる。
これらのTZDへの懸念にかかわらず、多くの医師たちが採用している。

糖尿病増加と治療費増加を考えると、小血管・大血管合併症や死亡率といった患者に重要なアウトカムと患者報告アウトカムが大事で、それに相応するコストをより考える必要がある。
炎症への効果、脂質特性への影響や他の特性指標への影響は作用メカニズムとしては重要かもしれないが、治療意思決定上はさほど重要ではないことを銘記すべきだろう。

To help patients make the most clinically sound decisions, the ramifications of rosiglizatone's safety concerns must be reframed from simply substituting one agent in a treatment class for another to a critical evaluation of the appropriate use of TZDs in the diabetes regimen. It is time to think outside this class.


要するに、アクトスを安直に使うな、メトホルミンなどをまず使え!ってこと。



厚労省主導の糖尿病発症予防薬剤としてアクトスがあると知ったら、卒倒するでしょうね。この筆者。

2型糖尿病発症予防のための介入試験(J-DOIT1):http://www.pimrc.or.jp/diabetes/research1_protocol_130.pdf
「J-DOIT-3」はヘルシンキ宣言違反? 2009-02-18

厚労省や糖尿病学会のおえらいさんて、頭おかしいのでは?武田製薬との癒着を感じるぞ!不自然さ。

アクトスの膀胱癌リスクに関する懸念黄斑変性への危惧てのもある。アクトスなどの同系統の薬剤は副作用疑惑ににまみれた薬剤なのである。

だが、片方で、米国製薬メーカーを背後に持つ政治的な動きも荷担している。

ところで、臨床諸氏のかたがたの元に、武田製薬は骨折リスク説明にこられただろうか?

日本の製薬メーカーの製品だから、大事に育てるべきではあるが、患者や臨床諸氏への信頼性は説明責任に答えることから始めるべきなのだが・・・どうもこの辺疑問が残る武田製薬の対応。


この話、”アクトスがだめなら、DPP-4関連に”って・・・元も子もない話にミスリードされたりして・・・

by internalmedicine | 2011-02-09 08:42 | 糖尿病・肥満  

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