やけ食い病は、脳内ドパミンが関与
2011年 03月 01日
BED(binge eating disorder) やけ食い、憂さ晴らし食い、むちゃ食いとか 訳されているが・・・短期間に大量の食べ物を一定的に食べる疾患を呼ぶらしい。この神経生物学的検討はさほどなされてなかったらしく、PETを用いた検討で、食事に対する動悸づけに関する脳のドパミン活動性を評価した報告。
Enhanced Striatal Dopamine Release During Food Stimulation in Binge Eating Disorder
Obesity , (24 February 2011) | doi:10.1038/oby.2011.27
[11C]を用いたPET検索を10名の肥満BEDと8名の肥満・非BEDで比較。
空腹時の食事刺激による線条体の細胞外ドパミンのをプレセボ後と、ドパミン再取り込み担体阻害薬剤である経口methylphenidate (MPH)摂取後比較し、ドパミンシグナル増幅させた。
神経刺激(MPH有無両方)でも、食事刺激でも、プラセボ投与後、細胞外ドパミン増加せず
MPH投与後は食事刺激で、ドパミンは尾状核、被殻において、BEDでは増加するが、非BED肥満者では増加せず。
ドパミンは尾状核で増加するが、その量は、binge eating scoreと相関。しかし、BMIとは相関せず。
これらの結果、尾状核のドパミン神経伝達が、BEDにおける神経生物学的な関連があることを示した。
BMIとドパミン量との関連性がないことは、ドパミン自体が肥満者群内BMIとと関連してないことを示し、、binge eatingという行動異常に関連していることを示している。
日本では、テレビの大食い企画は目を背けたくなるものが多かったが、さすがに下火。しかし、今でも、過食推奨番組が存在し、食行動異常に走らせる・・・不健康番組が未だに多い。
DSM-5 Proposed Diagnostic Criteria for Binge Eating Disorder
http://www.dsm5.org/ProposedRevisions/Pages/proposedrevision.aspx?rid=372
この病態は、bulimia nervosaとは異なり、不適切代償行為を伴わず、神経性食思不振症の経過中生じるものではない。減量しようとしてる人の1.3-30.1%に見られる。病態から行っても、認知行動療法がもっともいまのところベストチョイスと思われるが、上記ドパミンの絡む神経学的病態解明が治療のヒントになるのかもしれないし、食行動異常をきたす薬剤がBEDに関与も示唆する。
by internalmedicine | 2011-03-01 10:19 | 糖尿病・肥満