RSウィルス特異的IgEが小児喘息に関連・・・・喘息性気管支炎という病名の混乱


RSウィルスと喘息って、なにをいまさらって感じですが、さすがに新しい知見が加わっているようです。さらに、この特異抗体産生のピークが21日目ということはなんらかの介入治療の必要性も考慮されるわけです。

“RSウィルス特異的IgEが小児の喘息に関連。”
The Role of Virus-specific Immunoglobulin E in Airway Hyperresponsiveness
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 170. pp. 952-959, (2004)

RSVの肺感染がIgEのmRNA、高親和性、低親和性受容体の表出を増加させる。血中のウィルス特異的IgE抗体は第21病日にピークに達する。
in vitroの実験からRSVはマスト細胞の脱顆粒を生じさせるが、この細胞は特異的IgE感作されたものだけであった。ウィルス特異的IgEin vivoで受動感作されたとき、マウスはメサ懲りん感受性を悪化することとなり、高親和性IgE受容体がこの効果が現れるときの条件となる。このデータからRSV特異的IgEは小児の気道の機能障害の病態整理に関与する可能性がある。

1980年代まで、RSウィルスと細気管支炎の関係、“喘息性気管支炎”との関係がよく取り上げられてました。
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Predictive value of respiratory syncytial virus-specific IgE responses for recurrent wheezing following bronchiolitis.
RSV特異的IgE反応が無かった乳児の20%で喘鳴の記載無し、高反応の場合は70%が喘鳴
J Pediatr. 1986 Nov;109(5):776-80.

The development of respiratory syncytial virus-specific IgE and the release of histamine in nasopharyngeal secretions after infection.
N Engl J Med. 1981 Oct 8;305(15):841-6.
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最近では、迅速診断キットがあります。

RSウイルス検査の意義


臨書的意義づけは乳児には有りそうですが、幼児以降は私には不明です。


“通常の「急性気管支炎(風邪)」では喘鳴や発作は起きませんが、希に軽い喘鳴を伴う場合があります。これを「喘息様気管支炎」と呼びます。”
http://rods.plala.jp/~s002/situmon/index008.html
とか
“年少児では,自分からは積極的に気道分泌物を排出しないため,ゼロゼロした感じの喘鳴を伴いやすい.この喘鳴と軽度の気管支喘息は,いつも容易に鑑別できるとは限らないため,とりあえずの診断名として喘息性気管支炎を用いることがある.しかし,これは最終の診断名ではないので,喘鳴を反復する場合には,積極的に診断を確定するよう努めなければならない.”
などかかれてます。



“喘息様気管支炎”、時に“喘息性気管支炎”と同じ病名とすることがあるようです。

“喘息性気管支炎”という公害補償法の病名があり、混乱を深めます。

asthmatic bronchitis:成人の喘息様(ひょっとして喘息性)気管支炎:小児の喘息性気管支炎でなく、喫煙歴のある慢性粘液過分泌と気道過反応性を有する多くの患者を強調した表現で、“喘息”(asthma)という言葉は非特異的な言葉で、患者がたびたび使用する(ゼーゼーがあるなどの)“喘息”という言葉と同等で、非特異的なもの。(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=3283880


最近では、RSウィルス感染後に限っては、“RSウイルスによる急性細気管支炎”というのがICDなどを参考にすれば主流でしょう。


※1980年代後半私自身がすこしこの“喘息性気管支炎”という病名にとまどったことがあり、懐かしくなりました。

by internalmedicine | 2004-10-26 14:51 | 呼吸器系  

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