ACT NOW:アクトスの糖代謝異常状態からの糖尿病発症抑制効果

この治験の存在自体が・・・私には疑問。 でも、海外のメディアでもかなり報道されている。

おそらく、対象をIGTと絞ったことで可能となったトライアル。2型糖尿病移行予防に関して、メトホルミン有用性報告(Reduction in the Incidence of Type 2 Diabetes with Lifestyle Intervention or Metformin Diabetes Prevention Program Research Group N Engl J Med 2002; 346:393-403February 7, 2002)の存在を軽視しているのだろう。そして、本文をみると、metforminの記載は、アカルボースや肥満手術と同等の扱いで、序文に記載されているだけである。

はたして、ほんとにそれでよいのか? JAMA誌などの記載の下段論文をあらためてみても、この治験の意義に疑問を持たざる得ないと私は思う。故に、メトホルミンじゃだめなの?・・・という疑問には答えられない報告である。

エディトリアルなし・・・ってNEJMの態度も気にかかる。

という疑問をもちつつ、報告をみる。正常耐糖能比率は、アクトス群 48% v プラセボ 28%でかなりの効果が示されている。

Actos Now for Prevention of Diabetes (ACT NOW)

Pioglitazone for Diabetes Prevention in Impaired Glucose Tolerance

Ralph A. DeFronzo, M.D., Devjit Tripathy, M.D., Ph.D., Dawn C. Schwenke, Ph.D., MaryAnn Banerji, M.D., George A. Bray, M.D., Thomas A. Buchanan, M.D., Stephen C. Clement, M.D., Robert R. Henry, M.D., Howard N. Hodis, M.D., Abbas E. Kitabchi, M.D., Ph.D., Wendy J. Mack, Ph.D., Sunder Mudaliar, M.D., Robert E. Ratner, M.D., Ken Williams, M.Sc., Frankie B. Stentz, Ph.D., Nicolas Musi, M.D., and Peter D. Reaven, M.D. for the ACT NOW Study

N Engl J Med 2011; 364:1104-1115March 24, 2011





ピオグリタゾンが、糖代謝異常(ITG)成人において、2型糖尿病予防に役立つか?

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プラセボ比較で、IGTから糖尿病への移行を72%押さえることが出来た。しかし、有意に体重や浮腫増加をもたらした。

良好な変化は、拡張期血圧 (P=0.01)、肝酵素 (P<0.001)、HDL (P=0.008)、TG(P=0.007)、インスリン感受性 (P<0.001)、Insulin secretion–insulin resistance index (P<0.01)である。

心血管アウトカムに関連する、頸動脈IMTはプラセボ群で増加し、その差は31.5%(P=0.047)

ピオグリタゾン群 90名、プラセボ群 71名がはトライアルでドロップアウト
中断理由として、体重増加が9名で理由となり、3名が助言にて中断。
平均体重増加は、3.6kg、ピオグリタゾン群で205名、プラセボ群で128名

この体重増加の患者へのインパクトは完全には理解されてない、PROactiveトライアルでは、この影響は明らかにならなかったが、少なくとも複合心血管エンドポイント悪化にはつながらないという認識であった。
さらに体重増加はパラドックス的に代謝的には有益であり、体重が増えるほど、β細胞機能が改善し、インスリン感受性改善し、HbA1cの改善が見られる傾向にある。

浮腫を含めた副事象は ピオグリタゾン群 12.9% v プラセボ 6.4%(P=0.007)
心血管イベントは、ピオグリタゾン群は 8.6% v プラセボ 7.7%
骨折リスク増加報告があったが、この研究では差は無かった。



体重増加が果たして、パラドックス的な意義があるのか?
最終的糖尿病治療の目標である、糖尿病合併症である微小血管障害や心血管イベントなどの大血管疾患イベントや死亡リスクに対して有益なのかは・・・このトライアルでは分からない。

これで、メトホルミン v アクトス ガチンコ 一次予防対決は可能となったと思われ、


2型糖尿病発症予防のための介入試験(J-DOIT1):http://www.pimrc.or.jp/diabetes/research1_protocol_130.pdf
「J-DOIT-3」はヘルシンキ宣言違反? 2009-02-18


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