飲水ヒ素暴露と心血管疾患死亡リスク: 中等度ヒ素リスクに対する喫煙による悪化作用最悪

ヒ素は平成10年の毒物混入カレー事件や昭和30年のヒ素ミルク事件といった甚大な被害を惹き起こしたことで知られる元素(http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/5f/as.html)。
”日本の水道法で定められているヒ素の水質基準値0.01mg/L”で、10μg/Lという値


2000年に尿試料をとった11746名の男女の平均6.6年のフォローアップで、主要アウトカムは心血管疾患死

Arsenic exposure from drinking water and mortality from cardiovascular disease in Bangladesh: prospective cohort study
BMJ 2011; 342:d2431 doi: 10.1136/bmj.d2431 (Published 5 May 2011)
Cite this as: BMJ 2011; 342:d2431


住民の総死亡の43%に相当する198名の循環器系疾患死亡
心血管死亡率は、ヒ素濃度<12.0 μg/Lでは、10万対 214.3、対しそれ以上では 271.1

量反応関連があり、ハザード比は、共役要素補正後、 濃度 0.1-12.0、 12.1-62.0,、 62.1-148.0、 148.1-864.0 µg/L) で、 1.00 (対照)、 1.22 (0.65 to 2.32)、 1.35 (0.71 to 2.57)、 1.92 (1.07 to 3.43) (P=0.0019 for trend)

同様の相関が、暴露指数使用として総尿中ヒ素量を用いたときにも診られ、虚血性心疾患特異的であった。

虚血性心疾患・他心疾患に対する死亡率に関し、ヒ素暴露と喫煙暴露が有意なsynergistic interactionを示す。特に、25.3-114.0 μg/L(平均 63.5 μg/L)中等度暴露の喫煙とのjoint effectが個別影響より特に大きくなる (relative excess risk for interaction 1.56, 0.05 to 3.14; P=0.010).



虚血性心疾患・その他心疾患死亡率における喫煙とヒ素濃度ジョイント相関



多変量補正生存率



ヒ素と喫煙の心血管リスクへの関係、中等度ヒ素暴露の方が喫煙との共役効果が大きいという報告



直接関係ないが、一つのリスクに別のリスクが加わることによる相加作用を越えた相乗作用。放射線・放射能と他リスクとの相互作用関連ではどうなのだろう。放射線リスクをなるべくunderestimateしようとする動きの中、やはり、リスクは最大限見積もって対策することがまずは一番大事なはず・・・それを**行政は忘れてると思う。

by internalmedicine | 2011-05-06 09:40 | 環境問題  

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