ヒト肺幹細胞の存在

NEJMにしては珍しい、基礎医学的な報告



Evidence for Human Lung Stem Cells
Jan Kajstura et. al.
N Engl J Med 2011; 364:1795-1806May 12, 2011

胎生期5週目に人の肺はprimordial endodermal tube(内胚葉性原始管) のepithelial budから発生し、肺だけでなく、腹部臓器の発生源となる。さまざまなツールを用いて、肺と関連するearliest lung-committed budのprogenyを求める試みがなされ、上皮系と間葉系にまたがる幹細胞への検討がなされている。
幹細胞の基本的特性は自己修復、クローン原性、多能性である。組織特異的な幹細胞が同定されたが、ほ乳類肺での幹細胞特性を示すものは同定されてなかった。
基底上皮細胞、マウスにおける気管に存在し、ヒトの末梢気道に存在するtumor protein 63(p63)と cytokeratin 5(CK5)が肺幹細胞のクラスとみられていたが、クローン原性が無く、これらの上皮細胞は、単に気管・細気管支細胞への分化能力を示すに過ぎなかった。
気管上皮へクララ細胞は分布し、一部マウスの細気管支、ヒトの小器官へ分布し、近位、やや遠位側の呼吸構造分化修復に寄与している。しかしこれらの特性も幹細胞分類とするには不充分。

気管支肺胞幹細胞はin vitroで小コロニーを形成し、クララ細胞や上皮細胞の分子マーカーを表出し、type II 細胞は肺胞上皮肺細胞 type IIと type Iに分化・形成に至る。この観点から、type II細胞が肺胞上皮のprogenitorと考えられている。side population cellが見つかったが、in vitroの分化は間質細胞と類似している。
ヒト肺において、幹細胞プールが存在し、幹細胞抗原の同定・特性マーカーとしてのc-kit11-13抗原を用い、ヒト幹細胞をin vitroおよびin vivoにおける自己修復・クローン原性、多能性を定義として同定した。

by internalmedicine | 2011-05-12 08:26 | 呼吸器系  

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