喘息の気道リモデリングは気道収縮のみのメカニカルなもので生じる

”気道リモデリング”は”物理的力”で生じるということのインパクト!


喘息の気道リ・モデリングは、好酸球性変化を主体とした炎症性変化の結果と考えられている。で、吸入ステロイドなど抗炎症治療しないと、気道リモデリング改善できず、臨床的アウトカムにかかわる持続的肺機能低下・労作性呼吸苦・QOL低下などをきたすという耳にタコができる話が一般的だったと思う。
 
それに対して、この報告は、気道収縮のみで、気道リモデリングの持続的変化をきたすという報告

Bronchoconstriction and Airway Remodeling in Asthma
N Engl J Med 2011; 364:2006-2015May 26, 2011
C.L. Grainge and Others

吸入薬剤を3回行ったプロトコールで、2つのダニアレルゲンか、メサコリンの暴露を行い、2つの対照薬剤暴露し、生理食塩水あるいはアルブテロール投与を行い、メサコリンを投与する。

アレルゲン・メサコリンは即座に、気道攣縮を生じ、好酸球性炎症がアレルゲン群で増加し、アレルゲン・メサコリン両群とも有意に対照群にみられない気道リモデリングがみられる。
上皮膠原バンド厚はアレルゲン群で中央値 2.17 μm増加(2つの対照群と比較 P<0.001))
上皮(粘液腺)PAS染色は、アレルゲン群で中央値 2.17%(IQR, 1.03 to 4.77) 増加、メサコリン群で2.13%(IQR, 1.14 to 7.96)増加(対照群比較, P=0.003)
アレルゲン群とメサコリン群の有意差は存在しない。


喘息とは、可逆性の気道狭窄傾向を特徴とする慢性の疾患であるが、連日環境的影響を受けたり、感染の介在的影響、アレルゲン暴露、感作をうけることでこの状況が増悪し、構造的変化、すなわち、上皮杯細胞過形成、上皮膠原沈着、平滑筋肥厚などが生じ、”j気道リモデリング”を生じる。
アトピー性喘息でアレルゲン吸入で、好酸球性炎症が気道で生じ、細胞外マトリックスの変化を生じ、リモデリングを生じるということで、好酸球性気道炎症につながる・・・こういう説明がなされてきた。
ところが、パラダイムシフトとして、気道狭窄を小委jること自体が、組織モデリングを呼び起こすのではないかという証拠がそろってきたところである。気道収縮が気道内のメカニカルな過剰な力を生じ、組織リモデリングを生じ、in vitro研究にて、気道上皮ex vivo圧迫によりリモデリングと類似した変化が生じることが示されている。


”リモデリング予防には、気管支狭窄を妨げ、気道開存維持が大事な要素”という概念の転換の時期なのかもしれない。今まで、”気道リモデリング”を強調しすぎたため、隘路に陥っていた部分があったのかもしれない。また、ICS単独 v ICS+LABA v others・・・の議論に何らかの影響を与えるかもしれない。

by internalmedicine | 2011-05-26 09:01 | 呼吸器系  

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