イラク・アフガニスタン帰還兵のconstrictive bronchiolitis

Constrictive Bronchiolitis in Soldiers Returning from Iraq and Afghanistan
N Engl J Med 2011; 365:222-230July 21, 2011



中東、特にイラク・アフガニスタンに派遣された兵士たちの呼吸器疾患の報告は1990年代に始まった。米国、英国、豪州の疫学調査で、他の国に派遣された兵士に比べ、呼吸器疾患が多いことが判明し、2009年の46000名の調査では、イラクでの派兵と呼吸器症状の関連、そして、内陸、海部でともに報告されている。
急性好酸球性肺炎、喘息、アレルギー性鼻炎のような呼吸器症状が多いが、すべての呼吸器症状をこれだけでは説明出来なかった。ケンタッキー州のフォート キャンベルのBlanchfield Army HospitalがVanderbilt University Medical Centerにイラク・アフガニスタン帰還後の労作性呼吸苦の運動能力低下評価を依頼した。兵役前可能だった2マイル走行不能となっていた。多くはイラクのmosul近郊で大規模硫黄鉱山の火災からの煙に暴露されていた。以外に特定されない兵士も存在したが・・。他の健康な兵士では観られない持続性呼吸苦の原因は明らかではなかった。

38名(男35名、女3名)で生検標本にて”constrictive bronchiolitis”所見
年齢中央値33歳(23-44)、兵役採用時、全員がArmy Physical Fitness Testの要件を満たしていた。要求としては2マイル走行で23歳なら16.5分、48歳なら19.5分というもの。25名が非喫煙者、7名が現行喫煙、6名が喫煙既往。

Exposure History and Evaluation Summary for 38 Soldiers with Constrictive Bronchiolitis.
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Demographic and Clinical Characteristics of 38 Soldiers with Constrictive Bronchiolitis, as Compared with Military Control Subjects.
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・細気管支内腔の狭窄 38
・明らかな狭窄的間質
  平滑筋 7
  線維性組織 3
  両者 28
・色素沈着 37
・色素内の偏在物質 36
・細気管支周囲の炎症 34
・過敏型動脈変化 28
・呼吸細気管支炎 27
・目立つBALT 19
・粘液塞栓 13
・気管支壁の好酸球 7
・内腔肉芽 2
・細気管支の閉塞 0


2010年、80名中50名でフォロー、38名のconstrictive bronchiolitis後、19(50%)がdisability ratingのまま従事、8名(21%)が2マイル走行完遂できず従事、11名がフォロー出来ず。22名(58%)が従事中息切れや症状のための就労困難さを訴える。


freeなので、病理組織など閲覧されたし → fig.3

呼吸器疾患の病名ってのは曖昧模糊なのが多いが、このconstrictive bronchiolitisも、”constrictive bronchiolitis obliterans"などと用いられ、移植時の病変の病名に使用されていたり、「閉塞性細気管支炎」と混同されそう。

この論文にも”The diagnosis of constrictive bronchiolitis is challenging, especially in the absence of known predisposing conditions. Typically, patients have nonspecific respiratory symptoms and have an exercise limitation that is disproportionate to findings on pulmonary-function testing, which are frequently normal or mildly abnormal with both obstructive and restrictive patterns.”とあり、病理的にも病態的にも特異性を見つけることが困難なように思える。
NEJMはBOOPの発表(Bronchiolitis Obliterans Organizing Pneumonia N Engl J Med 1985; 312:152-158January 17, 1985)の時もそうだったが、診断名提示大好きだが、曖昧な部分のまま発表するため、その後診断定義などが混乱し、私ら下々に混乱をあたえることが多い。

硫黄炭鉱爆発に伴う微粒子沈着を重視しているのか、帰還兵の呼吸機能障害を主体としているのか、はたまた組織学的な非特異的特徴を合算して新しい病気を提唱しているのかポイントが分からない論文と思う。

by internalmedicine | 2011-07-21 09:10 | 呼吸器系  

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