ストレス反応によりDNA損傷を生じるしくみ

ストレス反応によりDNA損傷を生じるしくみ

Nature. Aug. 21号
A stress response pathway regulates DNA damage through β2-adrenoreceptors and β-arrestin-1
Makoto R. Hara et. al.
Nature (2011) doi:10.1038/nature10368
Received 16 July 2010 Accepted 18 July 2011 Published online 21 August 2011


p53はゲノムの門番であるが、p53低下が続くと、染色体異常に関わる。

アドレナリン作用物質を注射する、慢性ストレスモデル。4週間注入すると、p53の減少を生じ、低値となる。また、DNA損傷は、β-arrestin 1欠如マウスで予防できること、そして、β-arrestin 1はp53の胸腺細胞レベルを維持すること、急性・慢性ストレスとも臓器は反応し、性能への影響を与え、父性的に影響を与えることとなる。

βアドレナリン受容体のようなG-protein-coupled receptors (GPCRs)は、心疾患へのβ遮断剤、抗ヒスタミン剤や抗潰瘍薬を含め、これらの薬剤のターゲットである。 



ストレスへのヒトの心と体の関係は、ホメオスタシスへの脅威を受けた姿である。交感神経亢進、”戦闘態勢”でのカテコラミンであるアドレナリン・ノルアドレナリンの反応、このストレス反応は一般には一過性であるが、長期にわたると有害性の懸念が出現する。免疫抑制、成長阻害、カタボリズム促進など
慢性ストレス反応は、消化性潰瘍・心血管疾患と関連し、疫学的にも慢性ストレスがDNA損傷と関連することが知られている。このストレス誘起性DNA損傷は加齢促進、腫瘍発生性、神経精神状態、不妊などと関連する可能性がある。
しかし、このストレスとDNA損傷イベント関連のメカニズムは不明であった。ストレスホルモンであるアドレナリンはβ2-アドレナリン受容体を刺激し、germline cellやzygotic embryoを含む体全体で発現する。活性化β2アドレナリン受容体は、Gs蛋白依存的にprotein kinase A(PKA)を活性化し、G-蛋白シグナル化と機能を脱感作し、β-arrestinがシグナル・トランスジューサーの働きをする。
β2アドレナリンsどうせいカテコラミンの分子的メカニズムをGs-PKAやβ-arrestinを介するシグナル化経路を通し、DNA損傷、そして、p 53レベルの低下のトリガーとなり、DNA損傷の累積となる。
マウスも人間も、β-arrestin-1(ARRB1)がβ2アドレナリン受容体活性化し、MDM2のAKT-介在-活性化を促進し、molecular scaffold(分子足場)として働く。
カテコラミン誘発DNA損傷は、Arrb-1-ko(Arrb1 -/-)マウスで無くなり、これにより、胸腺や精巣でp53値が温存される。胸腺は急性・慢性ストrすに主に反応する器官であり、精巣は父性の影響が子孫ゲノムに伝わる意味がある。



アドレナリン作動性薬剤に関して・・・この辺の安全性担保できてるのだろうか?
特に、持続型とか・・・テオフィリン系とか・・・

”ストレスによる身体への影響”って、”ストレス”という言葉が曖昧なまま用いられることが多い、なんとなく分かったような気になっているが・・・




http://assay.nih.gov/assay/index.php/Section9:%CE%B2-Arrestin_Recruitment

by internalmedicine | 2011-08-22 11:40 | 環境問題  

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