新しいがん治療プラットフォームの可能性 : 静脈内投与用量依存的がん組織選択的にtransgene発現可能

遺伝子組み換えワクシニアウイルス製剤であるJX-594を、5種の投与量で、静脈内投与し、用量依存的にいtransgene発現できることが確認された。

Intravenous delivery of a multi-mechanistic cancer-targeted oncolytic poxvirus in humans
Caroline J. Breitbach et. al.
Nature 477, 99–102 (01 September 2011) doi:10.1038/nature10358


ペプチドや small interfering RNAs (siRNAs)などのような生物学的分子を、高濃度で、腫瘍細胞と正常組織で選択的に増幅するがん治療での有効性と安全性の問題は、ヒトでは検討はまだまだ。
poxvirusは哺乳類で血行性に散布し、がん選択的なreplicationのため設計されたvehicleとしての利用がなされ、腫瘍でのtransgeneの発現のための利用で期待されている。

JX-594はoncolyticなpoxvirusを、EGFR/RAS経路の活性化をがん細胞内でtransgeneの発現、増幅により、細胞融解、抗癌免疫に導くことを目的に開発。

JX-594は、選択的にがん組織に、静脈内投与で、用量依存的に感染し、transgeneを複製し、発現することが示された。しかも正常組織には感染しない。


このplatform technologyは多くの可能性を有することになるだろう。
例えば、ペプチドやmall interfering RNAs (siRNAs)といったものを利用した、がん治療上有効で安全な生物学的製剤を高濃度、選択的に、静脈投与投与という形で行えることの意義。

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by internalmedicine | 2011-09-01 09:09 | がん  

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