抗酸化ビタミンの有効性・・・でも・・・・




抗酸化ビタミンの有効性が出たんですと・・・でも
サブ解析でしたから・・・・
残念


最近、ビタミン・サプリメントの話題ばっかりだなぁ・・・・
拾うほうのROIの問題でしょうが、多少トレンドってこともあるのかな?
危険性を一般の方が認識せず、テレビ・新聞などのメディアで一方的な有益性の情報だけしかながされていないということが問題なので、多少責務的にも考えております。


The SU.VI.MAX Study
A Randomized, Placebo-Controlled Trial of the Health Effects of Antioxidant Vitamins and Minerals
Arch Intern Med. 2004;164:2335-2342.
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/164/21/2335?etoc
【序】抗酸化ビタミンとミネラル摂取が心血管やガンの促進因子であることが示唆。近来、サプリメントのランダム化、プラセボ対象治験はその利益効果が示されていない。
抗酸化作用ビタミンとミネラルの組み合わせの栄養学的投与の効果をガンや虚血性心疾患を一般住民で減少させるか評価。
【方法】The Supplémentation en Vitamines et Minéraux Antioxydants (SU.VI.MAX) study
13017名のフランス成人(35-60歳の7876名女性、45-60歳5141名の男性)
アスコルビン酸120mg、ビタミンE30mg、βカロチン6mg、セレニウム100μg、亜鉛20mg、対照 7.5年のフォローアップ
【結果】
ガン発生率、虚血性心疾患、全原因死亡率に差異なし
(267 [4.1%] vs 295 [4.5%] 、134 [2.1%] vs 137[2.1%])、76 [1.2%] vs 98 [1.5%])

しかし、ガンにおいては性・グループの相互関係が見られた(P=.004)
性層別化会席で、男性において防御的効果が見られたが女性ではなかった
(relative risk 0.69 [95% confidence interval {CI}, 0.53-0.91]、 1.04 [95% CI, 0.85-1.29])
同様な傾向が全原因死亡率にもみられ、男性では防御的、女性ではなし
(relative risk, 0.63 [95% CI, 0.42-0.93]、1.03 [95% CI, 0.64-1.63] ; P = .11 for interaction).

【結論】
7.5年後、ガン発生と全原因死亡率に関して低用量抗酸化サプリメントは男性では防御的、女性ではその影響が見られなかった。
サプリメントは男性にのみ防御的、理由はもともとの特定の抗酸化物質、特にβカロチンの低下があるのではなかろうか?


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評価できることは
・7.5年とフォローアップ期間が長い
・低用量のサプリメントであること(ビタミンEなど:http://intmed.exblog.jp/m2004-11-01#1298166)
・一般住民への影響であること、後述の喫煙者などの限定的なpopulationではない


しかし、いろいろ問題のある文献です。
・本来の男女混合の分析では有意差がなかったということで、サブ解析ご都合結果発表であること
・以下の2つの発表と合致しない
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CARET(Beta Carotene and Retinol Efficacy Trial):
ヘビースモーカーでアスベスト暴露歴のあるひとのガンを予防するための研究
プラセボに比較してサプリメント群平均4年、28%の肺がん診断増加、死亡17%増加:21ヶ月で中止
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=8901853
J Natl Cancer Inst. 1996 Nov 6;88(21):1550-9.


ATBC:
29000名の喫煙者・アルコール摂取者。肺がん死亡の18%の増加、11%の虚血性心疾患の増加。(20mgβカロチン投与)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=8127329&dopt=Abstract
NEJM Volume 330:1029-1035 April 14, 1994 Number 15

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最近はこういったことはpro-oxidant効果というのがキーワードのような気がします。
http://www.worldofmolecules.com/antioxidants/bcarotene.htm


ひとつだけいえることは、いわゆる“抗酸化ビタミン”は有害性も考慮しなければならないということです。

by internalmedicine | 2004-11-23 08:36 | Quack  

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