特発性肺線維症:チロシンキナーゼ阻害薬 BIBF 1120の有効性

特発性肺線維症というのは労作性呼吸苦が極度のQOL低下、生存への危機をもたらすやっかいな病気で、根本治療薬が存在しない難敵

tyrosine kinase inhibition剤、 BIBF 1120 治療

BIBF 1120 150mg×2回患者ではプラシーボに比べ肺機能減少の低下効果有り、急性増悪回数を減少させ、QOLを温存する効果があった。副作用は胃腸症状。

Efficacy of a Tyrosine Kinase Inhibitor in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Luca Richeldi et. al.
N Engl J Med 2011; 365:1079-1087
September 22, 2011


12ヶ月、pIIトライアルで、4種の異なる経口投与量とプラシーボによる有効性安全性評価
プライマリエンドポイントは、FVC年間減少率
セカンダリエンドポイントは、急性増悪、QOM、TLC

432名をランダム割り付け
BIBF 1120
・50mg/日
・50mg×2/日
・100mg×2/日
・150mg×2/日
・プラセボ

BIBF 1120 1日150mg×2群では、FVC年間減少 0.06 L、プラシーボ群では、0.19 Lで、BIBF 1120の68.4%のFVC減少率低下  (P=0.06 with the closed testing procedure for multiplicity correction; P=0.01 with the hierarchical testing procedure)
この投与量で、プラシーボに比べ急性悪化頻度減少 (2.4 vs. 15.7 per 100 patient-years, P=0.02)、 SGRQスコア減少軽度 (assessed on a scale of 0 to 100, with lower scores indicating better quality of life、−0.66 vs. 5.46, P=0.007)

150mg×2群は、プラシーボに比較して、胃腸症状やアミノトランスフェラーゼ増加




a0007242_8123077.jpg

プライマリ解析として平均 (±SE)FVC 補正比率

a0007242_8154327.jpg

中止後の平均 (±SE) FVC



BIBF 1120 は、tyrosine kinaseの細胞内阻害作用を有する薬剤で、特発性肺線維症やがんへの治療薬として開発されてきた。platelet-derived growth factor receptors (PDGFR) α と β 、 vascular endothelial growth factor receptors (VEGFR) 1、 2、 3、  fibroblast growth factor receptors (FGFR) 1、 2、 3 への作用を有する。tyrosine kinase受容体活性化シグナル化経路が肺線維症で阻害されているため、受容体抑制が見られている。ラットモデルでの効果、進展抑制効果が示されていた。

ピレスパ(一般名ピルフェニドン):Pirfenidone (5-methyl-1-phenyl-2-[1H]-pyridone) が日本では発売されている抗線維化薬としてこの薬剤も、”炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-1,IL-6等)の産生抑制と抗炎症性サイトカイン(IL-10)の産生亢進を示し,Th1/2バランスの修正につながるIFN-γの低下の抑制,線維化形成に関与する増殖因子(TGF-β1,b-FGF,PDGF)の産生抑制を示すなど,各種サイトカインおよび増殖因子に対する産生調節作用”などを示し複合的効果とされている。
Noble PW et al.Pirfenidone in patients with idiopathic pulmonary fibrosis (CAPACITY): two randomised trials.The Lancet, Early Online Publication, 14 May 2011.
CAPACITY: ピルフェニドン 特発性肺線維症 臨床第2相治験 2011年 05月 14日

数少ない、私の個人的臨床的印象としては、効果を実感するほどはいたってないのが正直なところだが・・・貴重な薬剤であることは確かだ。

by internalmedicine | 2011-09-22 08:57 | 呼吸器系  

<< 抗IL13治療:Lebriki... 大気汚染:PM10、NO2増加... >>