閉経後女性:サプリメントで死亡リスク増加 マルチビタミン、ビタミンB6・・・(カルシウムは例外)

閉経後女性において、いくつかのサプリメントが死亡リスク増加を示すという報告がなされた。

AFPでも”サプリメントの摂取は大半の人で不要、逆効果も 研究 2011年10月11日 13:45 発信地:ワシントンD.C./米国”(http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2834166/7907095)と報道。
”Certain Dietary Supplements Associated With Increased Risk of Death in Older Women, Study Suggests”と より直接的な表現なのに、日本語になるとずいぶんマイルドになる 。


日本のマスコミさんたちは、自分の商売(広告収入)に悪影響ある情報は流さないのが常。

世間にはマルチビタミンやいわゆるサプリメントの有害性に関して様々な報告がなされているが、マスコミなどが報道一切しないためか医者や栄養関係の専門家でさえその有害性を知らない人たちが多い。
寿命を短くしたければビタミンE大量サプリメントをどうぞ 2004/11/1
抗酸化物質だけを大量にとると酸化促進物質として溜まる 2011/06/09
ビタミンCもサプリメントとして多く摂取すると有害?・・・今回は糖尿病患者のみ  2004/11/18
・・・など、他にも有害性報告があったが、無視。

アメリカ心臓病協会(AHA)のステートメントは、”科学的データからは、心血管疾患への予防・治療のための抗酸化ビタミンサプリメントの使用を正当化できない”ということなのに、サプリメントを道具にし始めた商売をなかなかやめられない御仁も多い。



前置きが長くなったが、

Dietary Supplements and Mortality Rate in Older Women
The Iowa Women's Health Study
Jaakko Mursu, PhD; Kim Robien, PhD; Lisa J. Harnack, DrPH, MPH; Kyong Park, PhD; David R. Jacobs Jr, PhD
Arch Intern Med. 2011;171(18):1625-1633. doi:10.1001/archinternmed.2011.445

ベースライン平均年齢61.6歳、38772名の高齢女性でのビタミン・ミネラルサプリメントと死亡率の関連評価
サプリメント使用は、1986、1997、2004年の自己報告

多因子補正比例ハザード回帰モデルで、非使用者比較の死亡率増加リスクは

マルチビタミン  (ハザード比, 1.06; 95% CI, 1.02-1.10; 絶対リスク増加, 2.4%
ビタミン B6 (1.10; 1.01-1.21; 4.1%)
葉酸 (1.15; 1.00-1.32; 5.9%)
鉄 (1.10; 1.03-1.17; 3.9%)
マグネシウム (1.08; 1.01-1.15; 3.6%)
亜鉛 (1.08; 1.01-1.15; 3.0%)
銅 (1.45; 1.20-1.75; 18.0%
)

カルシウム使用は逆相関  (ハザード比, 0.91; 95% 信頼区間, 0.88-0.94; absolute risk reduction, 3.8%)

鉄・カルシウムの所見は、独立、短期間解析でも再現有り (10-year, 6-year, and 4-year follow-up)
オリジナルな参加者の約15%死亡


サプリメントというのは栄養補給食であり、栄養状態の良い人への投与というのはベネフィットよりリスクの方が大きくなる。そして、野菜果物などに代替できるるようなものではない。

死亡絶対リスク増加は、マルチビタミンでは2.4%のリスク、銅では18%にもなる。
多変量補正ではカルシウムサプリメントの絶対リスク減少は3.8%


カルシウムにも、こういう報告がある → カルシウム・サプリメント(ビタミンD投与併用なし)で、心筋梗塞や心血管イベントのリスク増加 2010/07/30


日本という国には、サプリメントの利益性だけを国が認め、特保なんてトンでも制度を作って、国民の健康を軽視し、事業者利益だけを保護しているように見える・・・

by internalmedicine | 2011-10-11 14:46 | ビタミン  

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