TLR(Toll様受容体)11と尿路感染症

サイトカイン(参考サイト)も接着分子(参考サイト)もそうですが、ある細胞膜に関係する物質とその受容体がわかれば、研究者は殺到しますね、その領域に。
しかも臨床領域は 感染症・血液学→動脈硬化に関する学問→・・・→呼吸器学なんてね・・・
私昔、サルコイドーシスの病態にT細胞受容体のrearrangeが関係あるのではないかと血液学のパクリで発想し、実験の準備をしたら、次の月にNIHの大親玉がすでに論文を発表しておりました。^^;(金と力があるところは・・・・・強い)

サイトカインなんかも、ガンなどの治療に使われ始めてますので、まあ、臨床上はすこしは役立ち始めているのですが・・・この方面の先生方に怒られるでしょうけど・・・なかなか、根本的治療にはつながってません。たとえばインターフェロンの肝炎治療、EGFR(上皮成長因子受容体)チロシンキナーゼ阻害剤:イレッサなど考えると、確かに効いてはいるのですが、・・・

ガンに関しても転移さえ防げれば・・・もうすこしキーポイントを握る物質があるのでしょうか?

感染症でもそうですが・・・

さて、今回話題のTLR11はどうなんでしょうか?

A Toll-like Receptor That Prevents Infection by Uropathogenic Bacteria
Science. 2004 Mar 5;303(5663):1522-6.
TLR(Toll様受容体)は、微生物に対して認識し、宿主防衛に関する遺伝子の転写促進的に働く。TLR11をクローニングし、肝臓、腎臓、膀胱上皮のマクロファージでの表現パターンをしめした。尿路病原性のある細菌に対して、TLRリガンドとして反応した。
TLR11欠損マウスは尿路感染を生じやすい。ということは尿路感染にTLR11が重要な役割をしている可能性大。
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これって呼吸器系もしらべるに違いない・・・

TLR4もそうだし・・・
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=15020293


“Toll(ショウジョウバエで真菌感染に対する生体防御に必須の受容体)の哺乳動物のホモログ(アミノ酸配列がほぼ同じたんぱく)で、現在TLR1-TLR10までの10種のファミリー分子が報告されている。”
http://www.jst.go.jp/pr/report/report334/goku.html
と記載されてますが、この次のTLR11

TLR4は、外因性リガンド(LPS(グラム陰性細菌)・F蛋白(RSウィルス)・クラミジアHSP60)と結合してLPSやインターフェロンガンマ、酸化LDLのup-regulation(促進作用)の影響をうけ、
内因性リガンド(フィブリノーゲン、フィブロネクチン、ヒアルロン酸、HSP60や70)と結合するCD14と
MD-2などと複合体をつくり、
TLR2とcross-talkすることで
NF-κB経路へ


外因性リガンド - TLR4 ← LPS、IFN-γ、酸化LDL
           |
(TLR2とcross-talk) CD14 ← FBN、フィブロネクチン、ヒアルロン酸、HSP60や70
          |
         MD-2
(http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/347/3/185から)

by internalmedicine | 2004-04-07 13:17 | 医学  

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