実験:卒中半球と対側半球、それぞれに、保護的に作用

某メーカーMRから少数例の検討で低カリウム血症状態でバルサルタンの方がカンデサルタンより効果有るというパンフレット・文献(佐藤紀行ら Therapeutic Research vol. 31 no.2 2010 p205-2009)を頂戴した。ほんとかな? ・・・ と思いつつ・・・

今度は実験的報告で、カンデサルタンが虚血性卒中後の状況で、卒中半球と対側半球でそれぞれ神経血管防御的はたらきがそれぞれあるのではないか・・・


・卒中半球では、VEGFB、protein kinase B(Akt)リン酸化
・対側では、血管増生的

カンデサルタンはVEGFB、VEGFAの局所的にupregulationの働きをしめす。


Vascular Protection by Angiotensin Receptor Antagonism Involves Differential VEGF Expression in Both Hemispheres after Experimental Stroke
Guan W, Somanath PR, Kozak A, Goc A, El-Remessy AB, et al. (2011)
PLoS ONE 6(9): e24551. doi:10.1371/journal.pone.0024551

カンデサルタンは神経血管防御的特性を示し、VEGFAの働きで部分的には説明できるproangiogenic stateとの関連を示した。
しかし、VEGF isoformの空間的分布、そしてその受容体分布は不明であった。

蛋白解析にて、CSF中・虚血性脳半球(VEGF受容体1活性化増加)のVEGFBの有意増加が実験動物で示され(p<0.05)、protein kinase B (Akt) phosphorylation の増加(p<0.05)。


脳のVEGFB発現




カンデサルタンにより、kinase B(AKT)活性化増加、p-38 kinase 抑制


対側半球のVEGFA蛋白増加は卒中7日めの有意なvascular density増加と相関  (p<0.01)
カンデサルタンによる卒中後の血管回復はVEGFBやVGEFAの局所的upregulationの不均一分布、すなわち、虚血半球でのprosurvival state促進、対側半球での血管増殖促進と関連。

卒中後の効果的治療による両半球の血管状況の変化は卒中後の回復に寄与しているのかもしれない。


by internalmedicine | 2011-10-22 13:40 | 動脈硬化/循環器  

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