COPD性差・・・と、私の愚痴

スピリーバが発売されます。

発売元のベーリンガーなんたらかたらは開業医を相手にしないとのことで、P社が担当することになったそうです。200床以下の病院を含めて相手しないそうです。
ありあまるP社のMRさんに開業医はまかせるつもりなのでしょうが・・・ベーリンガーなんたらは、COPDという病気の主戦場は病院と考えているように思えます。・・・アホか


日本呼吸器学会というのは、認定施設は有床診療所を認めておりません。
そして、学会開催日は平日ど真ん中に設定しており、まぁ開業医のことなど考えてないわけです。ご教授様の都合にあわせているせいだとおもうのですが・・・ベーリンガーなんたらかたらが、200床以上しか相手にせず、ありあまるMRをもつP社が担当するのがまあ当然ではあったのでしょう。こういう臨床軽視の学会は・・・・


以前の私の勉強日記でも触れてますが、ガイドラインでは薬物治療の第一選択薬であることには違いなく、評価の高い薬剤であるのですが、どうもここの会社のやりくちに疑問を持っている次第です。



COPD診断における性差
http://www.chestjournal.org/cgi/content/full/119/6/1691
Chest. 2001;119:1691-1695.
COPDは女性より男性で診断されやすい(58% vs 42%; p < 0.05)
COPD診断の尤度は性差で有意に大きく、初期の性差の相違が、客観的情報提供により減少する。スパイロメトリー後、COPD診断率は男性74%、女性66%で有意差がなくなる。
ステロイドトライアル後、85%vs79%でこれも有意差がない。
わずか22%が初期プレゼンテーション後スパイロメトリーを要求しているに過ぎない。



軽症COPDのLung Health Study()で、メサコリン試験で男性25%、女性48%の陽性所見、デンマークの研究(http://erj.ersjournals.com/cgi/reprint/10/4/822)で13897名の7-16年に及ぶ研究で、女性が肺機能減少率が高いことが判明、そして入院リスクがより高いことが判明。


といことで、女性ではCOPDの診断されにくいということです。

この診断過程をみると
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※喫煙歴:かなり重要
理学所見
血液検査(ヘモグロビン、白血球数)、赤沈、電解質、肝酵素、BUN、Cr
心電図
CXR
スパイロメトリー
気管支拡張剤効果
経口ステロイドトライアル
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と、なっております。

なにか200床以上の病院にこだわる理由があるのか・・・とおもいますが・・・


性別はCOPD患者のLABA/ICS合剤治療効果に影響なし
Gender does not influence the response to the combination of salmeterol and fluticasone propionate in COPD
http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6WWS-4CDJD1B-1&_user=10&_handle=B-WA-A-W-AC-MsSAYZW-UUA-AAUVVUYBDD-AAUAEYEADD-DDYDYUYYA-AC-U&_fmt=summary&_coverDate=11%2F30%2F2004&_rdoc=2&_orig=browse&_srch=%23toc%237138%232004%23999019988%23522517!&_cdi=7138&view=c&_acct=C000050221&_version=1&_urlVersion=0&_userid=10&md5=1ff482c3bc83b792601b80f135b5e9ca
Respiratory Medicine Volume 98, Issue 11 , November 2004, Pages 1045-1050
女性のCOPDの頻度は世界中で増加している。女性は男性より治療感受性は高いとされており、呼吸器薬剤の有効性と安全性の相違は大規模には検討されていない。
COPD女性の治療の反応性に関して大規模1年間のトライアル(TRISTAN)を施行
感度分析にて、539男性、180女性COPD患者を比較、salmeterol/fluticason併用薬50/500mcg bid 投与あるいはプラセボを12ヶ月間投与。
治療前FEV1はプラセボ比較で有意に女性で152ml(95%CI 95-208)、男性で127ml(94–159)改善している。
治療を要するCOPD急性悪化率は女性では31%(9-48%)、男性で23%(8-35%)
併用薬では健康状態の改善をSGRQスコアにおいて示すが、女性で−2.3 (−4.6 – 0.1) 、男性で−2.1 (−3.5 to −0.8)
どのアウトカムでも男女差はなかった。耐用性の差も男女でなかった。
【結論】salmeterol/fluticason合剤は有意にプラセボに比較してすべてのエンドポイントで改善し、改善効果は男女で同じ。
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結論から言えば、診断は女性は見逃されやすく、治療は性差なしってことでしょうか?

ということで、gender specific medicineの大学病院先生方がんばってCOPDを見つけてください。
大学病院女性外来

by internalmedicine | 2004-12-09 10:41 | 呼吸器系  

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