アスピリン過敏症・・・脱感作

日本のガイドラインは、アスピリン喘息を単に忌避するだけです。
http://www.allergy.go.jp/allergy/ebm/6-1.html

ですが、どうも西欧ではアスピリン信仰(造語です)というべき、信仰があるようで、アスpリンにこだわっているようです。

前駆物質自体はギリシャ時代から知られていたが、アスピリンは1899年Bayerで開発され、1948年、カリフォルニアの医師が心臓疾患減少との関連を指摘され、かなり根強い信仰があるようです。→(アスピリン・ワールド


アスピリン過敏症(http://www.postgradmed.com/issues/1999/03_99/craig.htm
アスピリンと非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)は用量依存的に喘息悪化や血管性浮腫などの副作用を生じる。プロスタグランディン抑制の程度と相関する。非アレルギー性鼻炎や鼻ポリープ、汎副鼻腔炎(pansinusitis)、気管支喘息を含むリスクを増加させる。成人喘息の15%程度までアスピリン誘起性気管支攣縮を生じる。喘息と鼻ポリープ患者で20-40%までリスクが増加する。アスピリン投与でびまん性の紅潮(flushing)や鼻漏、刺激が生じる。IgEを介するものではなく、皮膚反応は診断上意味がない。病歴、そして時には注意深い暴露試験がなされることがある。プロスタグランディン抑制、ロイコトルエン増加と関連有り、暴露し堅固、尿中のヒスタミンとロイコトルエン増加と、血中tryptase値が増加する。こうヒスタミンは有効ではない。抗ロイコトルエン拮抗剤は抑制的な効果があり、LTC4が介する可能性がある。
脱感作は心血管疾患やリウマチ疾患でアスピリン投与必要な患者で有効という報告がある。この治療は時間がかかり、しばしば入院が必要となる。潜在的に危険だが、報告では合併症や死亡率は少ないとされている。尿中のLT4値、鼻症状、鼻ポリープ、ステロイド必要量、救急受診、入院が有意に減少という報告
少量、漸増性にアスピリン量を3時間毎に増加させ、通常量まで持って行く方法
維持療法が重要で、中断により脱感作が無効となる(不応期:refractory period)。
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少々長い前置きですが、JAMAに peer-reviewが掲載されておりました。
アスピリン喘息があれば、アスピリンを断念するのが日本で代換方法を探る方ばかりです。入院期間も必要だし、代換方法とコスト解析したことがあるのでしょうか?と、疑問が・・・
それとも、アスピリン喘息患者にもアスピリン投与を考慮しなければならないほどの、リスク・ベネフィットバランスがあるのか・・・今後の課題です。


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Aspirin Sensitivity:アスピリン過敏症
JAMA Vol. 292 No. 24, December 22/29, 2004

・peer-reviewed journal


一般住民で、アスピリンによる急性悪化呼吸器疾患は約10%の頻度で、アスピリン誘起性じんましんの頻度は0.07%-0.2%
アスピリン感受性は鼻炎や喘息・じんましん/血管性浮腫でcyclooxygenase 1を阻害する交差性があるNSAIDSにより誘発される症状としても
との交差性がある。

過敏症の主なメカニズムはじんましんや血管性浮腫を生じる薬剤特異的なIgE抗体産生によることは少なく、アナフィラキシーは稀。


アスピリン過敏症の多くの患者は、慢性の特発性じんましんをのぞけば脱感作法を安全に、成功できる。しかし、アスピリン脱感作の有効性の特異的にフォーカスを当てたランダムトライアルは存在しない。

さらに、冠動脈疾患患者でのアスピリン脱感作の経験は非常に限られている。

脱感作成功後、アスピリン治療は再感作予防をするためにはっきりせずに続けざるえない。

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アスピリンの脱感作はググルと多く検索されます。

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すべての患者で呼吸器症状が出現する。この反応が出現する平均投与量はアスピリン58mgであり、症状は鼻閉塞症状、気管支反応(FEV1 15%減少と定義)である。
症状を処置し、改善したところで、また繰り返す。アスピリン量を数日ごとに増加させ、650mgが副作用なしで耐えられるまで行う。脱感作後アスピリン650mgを毎日服用させる。Ann Allergy Asthma Immunol. 2003 Mar;90(3):338-41.
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J Allergy Clin Immunol. 1982 Jan;69(1 Pt 1):11-9.
30名のアスピリン過敏性を漸増的、経口アスピリンチャレンジ(ΔFEV1が25%以上)の“陽性所見”がでるまで
この反応後、アスピリンを再投与し、“脱感作”達成をこころみるため再投与
“漸増後、アスピリン650mgで上気道・下気道症状なし”で服用できる能力と定義。


アスピリン脱感作後の“不応期”(アスピリン継続投与中止で脱感作が無効となる期間)を決定するため、様々な期間を変えて、陽性反応が再び起きるまでアスピリン無しの期間で再チャレンジする。
30名全員でアスピリン感受性喘息患者の脱感作成功。
不応期は2日未満から5日まで

インドメサシンと他のNSAIDsとの交差脱感作も認められた。
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by internalmedicine | 2004-12-30 10:50 | 医療一般  

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