精神科:再収容化・施設化へ傾く西ヨーロッパの動き


向精神薬の開発以後,1960年代から施設症候群と呼ばれる精神病院入院自体が疾患に与える弊害と人権侵害が問題視されるようになり,脱施設化と呼ばれる精神病院の解体と地域精神医療が進んだ。イタリアではバザーリアらによる精神病院の全面的閉鎖などの急進的な改革が行われた。現在の先進国では精神病院入院は短期間・限定的が原則になっている。

というのはその後を検討してないようです。

Reinstitutionalisation in mental health care: comparison of data on service provision from six European countries
BMJ 2005;330:123-126 (15 January), doi:10.1136/bmj.38296.611215.AE (published 26 November 2004)
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/bmj;330/7483/123
1970年代西ヨーロッパでなされた精神医療の中で脱施設化は現在、補正され、さらに過剰に補正される傾向にある。
Priebeらは、6西欧諸国でその変化を比べた。5カ国の精神科のベッドは減少しているがじつはその2カ国は他の施設の種類に変わったに過ぎない。すべての国で“general prison population”(監禁数)は実質的に増加している。
ばらつきは国によってあるものの再収容化は異なる医学伝統を有するヨーロッパ諸国で行われている。正確な理由は不明。合併症や、精神医学的な新しい方法論というよりは、収容人員数から適応されたという、社会のリスク閉じこめという一般的な傾向が重要視されているのであろう。


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小学・中学教科書に医療・福祉というのは西欧・北欧がお手本というようなことが書かれていた気がします。どうもそのせいか、西欧・北欧のやっていることがすべて正しいというような浅薄な思考が、知識人を自覚している人ほどこの落とし穴にはまる傾向があるように思えます。Web検索すると、そのような考えがかなりはびこっている事態を確信します。
一部の頑妄さが介護保険や精神医療制度へのいびつな構造を作らせている部分があるように思えます。
西欧が脱施設化から再施設収容化へ移行しているという状態をどう考えるのでしょうか?
西欧・北欧がやっているから正しいなんて考えは通用せず、真に科学的な調査・考察・プランがこの分野に求められているのです。

介護保険導入の朝日新聞女史の夢見る北欧へのあこがれの結果、介護保険は各方面でいきづまりをみせています。官僚制度の強化と国民負担増加させた弊害はかなり大きいと思うのです。

by internalmedicine | 2005-01-19 18:15 | 医療一般  

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