ジェネリック薬品の問題点も放送せよ!


民放のテレビ番組で“医療費を安くしたければジェネリックと言いなさい”という情報があったそうですが、

地域の薬剤師さんたちとの勉強会で、後発品メーカーの社長さんを講師にして講演会を開いたときに考えた、情報の非対称性という面でジェネリック薬品の問題点を列記しておきます。

結論から言えば、かならずしも、安いものがいいとは限りません。・・・それどころか、患者の立場をまもることを専念すれば、後発品導入には慎重に成らざる得ません。・・・“後発品導入に積極的でない医療機関”の方が“患者さんのことを考えている”とさえ考えられるのです。


この分野でも・・・安かろう!悪かろう!・・・というのを感じております。


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・生物学的同等試験がなされてない。溶出試験すなわち試験管内で薬の溶け方が一緒だと同じ薬効とみなしている
だが、“溶出試験によるジェネリック医薬品の品質調査”(http://www.sikai-web.com/generic-drugs-hinshitsuchousa.htm)でも明らかなとおり、これでは同一性の保証は不可能であると判明している。

ref.同等性試験
http://www.nihs.go.jp/drug/Q&A/

後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について(http://www.nihs.go.jp/drug/Q&A/


・さらに原材料であるバルク生産は発展途上国で行われることが多く、その製造過程に製品の質の担保がない。厚労省チェックは水に溶けるかどうかだけである。不純物混入、結晶化の問題など薬剤の質に関わるものがチェックされずに、堂々と薬剤として出回るのである。


売りっぱなしの生産販売体制では、品質保持、販売の永続性に関してかなり疑問がある。バルクを輸入して、製品化することで、製品できあがりということがほとんど。製薬というイメージより水溶解性のみに気をつかっているパッケージ業者なのである。製造コストをカットして、2年ほど売り抜けて、その製品はもうださないよ!という業者が多く、責任所在がはっきりしないのである。


<サンプリング・モニタリング>
・溶出試験、承認時の人為的なサンプルでの試験結果で行われており、その後の調査が行われてない・・・という情報あり 質の継続性の担保なし ※確認中
“溶出試験は承認時だけでなく、薬が製造されるすべての製造ロット毎に毎回実施”との情報あり ※確認中


ジェネリック薬品を採用しているところは多く経験するが、薬価改訂後市場から無くなる率が高い。すなわち、売りっぱなしと思われるものが多い
長期的使用後副作用や後に薬害が明らかになったときに、製薬会社はその製品を生産してない可能性や製薬会社そのものが無くなっている可能性が高い。大手ジェネリックでさえ、添付文書は水で簡単に消えるものや破けるものである。・・・患者さんたちはああいうパッケージをみてもジェネリックをほしがるだろうか?


・医薬品の製品情報がなされない
薬理作用・副作用は先発品メーカーに聞いてくれという業者がいるほど。添付文書も劣化紙に印刷不明なものを添付している。

ジェネリックメーカーの無責任さを示しているWeb記載(http://d-inf.org/drug/kht05.html
副作用のデータに関してほしい情報があれば、先発メーカーに聞いたらいいと思います。
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当方は数年前からジェネリック薬品に関して積極的に検討しており、採用すべきと判断したものは採用しております。残念ながら後発品に関する医薬品情報が製薬会社から届いたのは大手メーカーの分社化されたジェネリック会社だけという状況です。
患者さんに“ジェネリックは安くて良いけど、処方する医師・調剤する薬剤師に先発品ほど情報が入ってないことも知っていてほしい”のです。
そして、ジェネリックに関して異物混入時の対応で非常に不信感をもったことが有る経験をした地域の薬剤師の先生の経験もあります。

基本的には 製品情報などが適切に入手できる質の良い後発品があれば後発品に限る。
しかし、現実的にはコストから考えればふとどきな業者が後発品では入り込む余地を残しているということです。



日本のテレビ局の情報の問題点は根深いものがあり、偏った情報を流して、その信頼性に関しては娯楽番組ということで逃げる・・・かなり犯罪的であると私は思うのです。




なお、行政は、
現在の国内先発企業を“メガファーマとスペシャリティーファーマ”に収束、安価なジェネリック医薬品を有効活用することにより捻出された資源を、国内メガファーマやスペシャリティーファーマが開発する有用性の高い画期的新薬へ配分する”
ref.02/06/14 第3回医薬品産業ビジョンに関する懇談会議事録
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/06/txt/s0614-1.txt

要するに、後発品へできるものは移行させて、新規先発品の高値誘導で一部製薬会社をもうけさせて、それで新規薬品の創薬をめざさせるというわけです。メディアも国に踊らされているわけですが・・・

医者には敵意むき出しの民放&NHKは製薬会社や国への突っ込みは甘い
・・・厚労省の役人どもの言いなりのメディアに何の社会的役割があるのだろう?
・・・問題点を明らかにしてこそ意味ある報道である

後発品の問題点露呈は後発品が本格的に使用されはじめて、雪崩的に衆目に晒されることであろう。・・・そのときに、今 CMに出ているタレントたちの印象はかなり悪くなるものだと言うことを自覚していた方がよい。

by internalmedicine | 2005-01-27 10:33 | 医療一般  

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