インフルエンザの診断のEBM的考察

陽性適中率:Positive Predictive value (%) はある検査が陽性の結果が出た場合に本当にその疾患に罹患している確率を意味し、ほんとは、神のみぞ知る値だが、想定して行われる。



当方の、本日のインフルエンザ迅速キットの陽性率は8/20程度で40%程度・・・
一応、38℃以上、あるいは、家族・コミュニティーに感染が疑われる場合など適応を絞っているつもりなのだが・・

それに引き替え全国の先生方はすごい・・・
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迅速キットを使用する場合の判断基準としては、PPVの方がありがたくて・・・
http://www.aafp.org/afp/20030101/111.html
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一つの研究では・・・
咳嗽・発熱(38度以上)のPPVが86.8%、NPV 39.3%、感度77.6%、特異度55%

他の研究では・・・
咳嗽・発熱のPPVがもっとも良好で、79%
さらに高い発熱はより良いPPVを示す。

筋痛と咽頭痛の存在はPPVを改善せず

38度以上の発熱、咳嗽、筋痛の同時存在はインフルエンザシーズンに限れば77-85%とする研究もある。
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でも、今回、メタ・アナリシス・・・これは尤度比(LR)で検討
PPVで検討されておらず、LRで検討
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Does This Patient Have Influenza?
JAMA. 2005;293:987-997.
インフルエンザワクチン接種はインフルエンザのリスクを低下はするが、根絶はできない。信頼性のある、迅速の臨床診断をなすことが適切な患者マネージメントにとっても、抗ウィルス薬の需要増大による不足の間に特に重要となるかもしれない。

目的:インフルエンザの症状・徴候の系統的precisionとaccuracyをなレビューするため
二次的目的は(30分未満で結果判明する)迅速診断テストのoperating characteristicsをレビューすること


インフルエンザの尤度が減少する場合・・・・
熱なし(LR, 0.40; 95% confidence interval [CI], 0.25-0.66)
咳嗽なし(LR, 0.42; 95% CI, 0.31-0.57)
nasal congestion なし(LR, 0.49; 95% CI, 0.42-0.59)
だけが、尤度比0.5未満の所見

60歳以上に限定した研究では、
発熱・咳嗽・急性発症(LR, 5.4; 95% CI, 3.8-7.7)
発熱・咳嗽(LR, 5.0; 95% CI, 3.5-6.9)
発熱だけ(LR, 3.8; 95% CI, 2.8-5.0)
全身不快(malaise)(LR, 2.6; 95% CI, 2.2-3.1)
chill(LR, 2.6; 95% CI, 2.0-3.2)
ある程度のインフルエンザの尤度増加となる


老人の“くしゃみ”の存在はインフルエンザと考えにくい
(LR, 0.47; 95% CI, 0.24-0.92).
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まとめると、
発熱・咳嗽が、インフルエンザ診断上、きわめて重要な所見と言うこととなります。
咽頭痛・筋痛は役立つ所見ではない
老人では、くしゃみあがれば否定的、悪寒・振戦などが有れば考慮すべきとなるでしょうか?

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タミフル(Oseltamivir)コスト解析・・・
http://www.annfammed.org/cgi/content/full/2/1/33/F2
http://www.annfammed.org/cgi/content/full/2/1/33


日本の文献だが、予防投与:7日・
http://yakushi.pharm.or.jp/FULL_TEXT/124_4/pdf/207.pdf


utility解析を行っておらず、正しいコスト・利益分析ではないが、三日投与を推奨。
http://yakushi.pharm.or.jp/FULL_TEXT/123_10/pdf/887.pd
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日本の現状にジャストフィットするものはないが、30-50%のPPVがあれば、タミフルを私用してもいいのかという判断になりますが・・・


一方検査確定を重視する報告もあり・・・・
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3591名のランダム化の場合、検査上確定されたインフルエンザの68%、インフルエンザAが88%の場合、
・LRTCs(気管支炎、下気道感染、肺炎で定義):10.3% vs 6.7%、特に、気管支炎 8.2% vs 4.4%、55%減少。
・インフルエンザ様疾患(検査上確定できてない場合)は、oseltamivirとプラセボ群のLRTC率の差異なし。
・ハイリスク患者でのLRTCs減少は健常者に比べ成功するとはいえない
・包括的に、医師診断上気道炎に抗生剤投与を行った群に、oseltamivirとプラセボを使用しても有意な差異はない。しかし、oseltamivirは抗生剤使用量を検査上確定したインフルエンザ患者で使用する場合はそれを減少させる。
・Oseltamivirは検査上確定したインフルエンザ患者の入院を59%減少させた。oseltamivir治療による入院NNTは100人。Oseltamivirは検査上確定したインフルエンザのハイリスク患者の入院を50%減少。
・Oseltamivirはインフルエンザ様症状に対しては、入院を減らさない。
AFP(http://www.aafp.org/afp/20010301/clinical.html)
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PPV40%程度ならタミフルつかっちゃえという考えと、やはり検査上確定診断の上タミフル投与は行われるべきという考えにわかれてしまいますね。

厳格にはユーティリティー分析など正確なコスト・ベネフィット研究が行われなければならない・・・と思います

by internalmedicine | 2005-02-23 17:29 | 呼吸器系  

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