軽症・中等症肺炎は定型的・非定型的と分類する意味なし・・・? 第1選択薬はβ‐ラクタム系・・・?


非定型肺炎と細菌性肺炎を分けるべきというのが日本のガイドラインの骨子となってます。ところが世の中には“肺炎球菌をはじめとした細菌による定型肺炎(typical pneumonia syndrome)との区別は必ずしも明らかではなく,症状,検査所見からの鑑別も必ずしも容易ではないとする文献が多い”とガイドラインにも書かれてます。
http://www.jrs.or.jp/quicklink/glsm/guideline/seijinsichu/


定型・非定型とわけることに意義をみとめない
http://www.postgradmed.com/issues/1999/04_99/sarosi.htm


この根本は、β‐ラクタム第1選択で、軽中等症肺炎はいいじゃないかという事につながります。
 ↓
結果的に、それをサポートする論文。
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Effectiveness of {beta} lactam antibiotics compared with antibiotics active against atypical pathogens in non-severe community acquired pneumonia: meta-analysi
BMJ 2005;330:456 (26 February), doi:10.1136/bmj.38334.591586.82 (published 31 January 2005)


非重症のCAP(市中肺炎)の成人に対する第1選択はβ‐ラクタムであるべきである。
18のRCT6749名を含むシステミック・レビュー。
Millsらはβ‐ラクタムと他の非定型的な治療と治療失敗に優位な差が認められなかった。(0.97 95%CI 0.87-1.07)。
サブグループ解析では否定形的原因に対してβ‐ラクタム抗生剤に対するadvantageは市中肺炎全体の治療失敗のリスクとしては認められなかった。
非典型的な抗生剤はレジオネラ属に対してのみ有効であったが、含まれるトライアルのなかでは原因としてまれ。
全原因のCAPの治療失敗の相対的リスクは、抗生剤のアクティブな非典型的な原因に対する治療のadvantageをβ‐ラクタム抗生剤比較で行っても見いだせない(0.97, 95% confidence interval 0.87 to 1.07)。
非定型的病院に対する抗生剤においては、レジオネラ属の治療失敗の有意な低下が見られた (0.40, 0.19 to 0.85)。マイコプラズマ(0.60, 0.31 to 1.17)・クラミジア肺炎(2.32, 0.67 to 8.03)ではequivalentであった。
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でも、経験から、オウム病などのケースをみてると“?”という気がします。
初期から悪化するので特に問題はないのか?重症スコアの評価が必要なのでしょうか?
レジオネラなどは比較的軽症から始まるケースがあり、初期治療が重要ということの裏返しか?“循環水を利用した風呂、エアロゾルを 発生させる人工環境(噴水等の水景施設、ビル屋上に立つ冷却塔、ジャグジー、加湿器等)との接触の聞き取り”が重要か?

by internalmedicine | 2005-02-25 15:46 | 呼吸器系  

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