小児のインフルエンザワクチンは公衆衛生施策として必要か?

ワクチンを含め、インフルエンザ治療に関して、何をもって有効と評価するかが問題になります。

抗癌剤などは死亡率だけで評価する場合がありますが、一般的にはその治療・予防法をやって良かったかどうかはたとえば以下の分析が行われます。
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費用・効果分析(Cost-Effectiveness Analysis)
費用・効用分析(Cost-Utility Analysis)
費用・便益分析(Cost-Benefit Analysis)
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インフルエンザは死ななければ問題なしという乱暴な意見だと以上の検討は不要となります。
それに近い発言をするのを聞くと逆上してしまいます。


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Assessment of the efficacy and effectiveness of influenza vaccines in healthy children: systematic review
Lancet 2005; 365: 773-80
16歳までの子供の生インフルエンザワクチン・不活化インフルエンザワクチンのefficacyとeffectivenessを評価することを目的

14のRCT研究、8つのコホート研究、1つの症例対照研究、一つの皮内使用のRCT

生ワクチンは、2歳未満の子供で、プラセボ・未接種と比較で79%のefficacyと38%のeffecitive

不活化ワクチンではefficacy65%と生ワクチンより有効性低い

2歳以下ではプラセボと同程度。

不活化ワクチンのeffectivenessは2歳超で約28%

ワクチンは長期学校欠席減少に有効(相対リスク:0·14 [95% CI 0·07-0·27])

2次ケース、下気道疾患、急性中耳炎、入院期間へのワクチンの影響を評価する研究ではプラセボと標準ケアに相違がないが、統計学的パワーがかけている。

【解釈】
インフルエンザワクチンは2歳超で有効(特に生ワクチン2回)
efficacyとeffectivenessは劇的に違う。
2つの小さい研究で入院への影響のみ評価され、死亡率、重症合併症、インフルエンザのcommunity transmissionへの検討はなされてない。
もし子供のインフルエンザワクチンが公衆衛生施策として推奨されるなら、大規模研究が差し迫って必要。
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日本では不活化ワクチンだから、これより有効性はさらに低いはず・・・


日本の義務接種はもっとも有効性が低いかもしれない世代から始まってしまったんですねぇ。そして、不活化ワクチン・・・


それでも、このような効果を・・・
The Japanese Experience with Vaccinating Schoolchildren against Influenza
NEJM Volume 344:889-896 March 22, 2001 Number 12
死亡率への影響は日本で大きい。

by internalmedicine | 2005-02-25 18:22 | 呼吸器系  

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