スタチン治療の服薬遵守(drug adherence)がどの程度血中のLDLコレステロールに影響を与えているか?

服薬遵守(drug adherence)というのは自分が服用するときにその難しさが身にしみます(H.pylori除菌の最後の2日間が怪しかった・・・^^;)


糖尿病+脂質異常の患者さんの薬剤服薬遵守性の検討
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Adherence to Statin Therapy and LDL Cholesterol Goal Attainment by Patients With Diabetes and Dyslipidemia
http://care.diabetesjournals.org/cgi/content/abstract/28/3/595
Diabetes Care 28:595-599, 2005
脂質異常で薬物治療されている患者の記録からLDL目標(<100 mg/dl)、9ヶ月治療possession ratioデータベースで初回処方開始、薬物治療利用日数比率:MPR)
【結果】
653名を解析
女性より男性がMPRが高い(0.75 vs. 0.66, P < 0.05)
総括的に、LDL<100mg/dlの目標到達は44%(n=290)で、男性52%、女性37%(P<0.05)
MPRと血中LDLコレステロールの有意な関連(P<0.001)
MPRはLDLコレステロール目標到達患者の方が高い(0.82 vs. 0.61 P<0.05)
【結論】
スタチンは脂質異常患者のLDLコレステロール値を下げるのにかなり有効だが、LDL目標到達失敗が多く見られる。
スタチン治療のadherenceは、MPRで検討したとき、糖尿病・脂質異常患者の目標到達と相関がある。MPR>0.80なら、目標到達可能性は実質的に増加する。
薬剤記録は、スタチン治療のコンプライアンスの悪い患者さん、LDLコレステロール治療目標に到達できない高リスクの患者さんを同定に用いることができる。
臨床目標(血中コレステロール値)に到達してないとき、アウトカムは患者の薬物服用行動と直接関連し、adherenceを医師による評価の第1アイテムとすべきである。
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喘息の患者さんをみてると、女性の方がまじめかなぁとおもってたのですが、どうも男性の方がこの調査ではまじめなようです。

日本国内では1/3が意図的に処方を無視している現実から、さらに悲惨なのでは・・・

なんせ、マスコミも、オンブスマンさんも、医者やスタチンの悪い方ばかり宣伝するので、治療機会を逸しさせているのですけどね・・・・一度この計算をしてみましょう。

by internalmedicine | 2005-03-12 11:50 | 動脈硬化/循環器  

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