中心静脈ルート管理について

日本伝統のカテーテル刺入部位消毒に関する論文を探そうとずっとおもっているのですがみあたりません。ガーゼに関する報告はあるのでガーゼ交換だけはするようですが、それも汚くなってから・・・

中心静脈ルート管理の問題というのはメジャー論文が多く取り上げてますが、日本のメジャー雑誌(そんなものないのか・・・)はとりあげない・・・で、研究者は外国論文へと・・
不勉強者へはいつまでも情報が入らない・・・で、変な伝統的な消毒・創傷治療がはびこると・・


2003年NEJMのレビューから
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1)カテーテル由来の感染症が生じる
2)感染を疑えば、末梢血中サンプル2回行う(コンタミネーション防止のため)
3)カテーテルからの培養陰性時はカテーテル感染はありそうもない
(やはりカテーテルからの培養も行うべきか?:訳者注)
4)カテーテル挿入部位の観察が最も重要。
膿性、発赤あれば除去の必要有り
5)敗血症や敗血症性ショックの場合は表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌治療を開始すべきで、グラム陰性細菌への治療も、免疫不全、白血球減少や他のグラム陰性菌感染のリスクがある場合それに対する治療もempiricalに開始されなければならない。
6)カテーテルはガイドワイヤーにて交換されるべきであり、挿入関連合併症を減らし、たとえ敗血症でさえ、抗生剤治療さえおこなわれていれば安全である。
7)敗血症性ショックや他に感染源がないときは、新しい部位に挿入すべき。
8)カテーテル・チップの培養が陽性の時はカテーテルコロナイゼーションか、カテーテル関連血中感染症を生じているので、ガイドワイヤーを通してカテーテルを除去しなければならない
9)もしカテーテルチップの培養が陰性なら、カテーテルコロナイゼーションやカテーテル関連血中感染はありそうもないので、感染源を別に検索すべき。
n engl j med 348;12 www.nejm.org march 20, 2003
http://content.nejm.org/cgi/reprint/348/12/1123.pdf
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わかりにくいですね。

カテーテル挿入関連処置:
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1)皮膚発赤、表層性の膿性浸出のみ→ガイドワイヤーにて交換
2)敗血症(ショックを伴わない場合):
カテーテルからの培養陰性なら交換必要なし?しかし現実的には培養を待てないので、明確な他部位感染症が疑われるなら、交換必要なしだが、疑われるなら新規部位に挿入
3)敗血症(ショックを伴う場合):
新規部位再挿入へ
・定期的交換の意味はない
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ということでしょうか?



<抗生剤の予防投与>
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・エビデンスレベル:第5(最低) 感染抗生剤全身投与中
J. Natl. Inst. Public Health, 51 (4) : 2002
http://shoroku.niph.go.jp/kosyu/2002/200251040005.pdf

・血管内留置カテーテルに関連する感染予防のCDCガイドライン
http://hica.jp/cdcguideline/icri.pdf
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抗生剤予防投与は否定的(でも免疫不全患者ではどうなのか?)


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カテーテル感染頻度など
http://www.aaic.net.au/default.asp?D=1998206

chlorhexidine gluconate versus povidone-iodine
http://www.annals.org/cgi/reprint/136/11/792.pdf



Annals of Internal Medicineには具体的な事項多し
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・Sterile Barrier Precautions
中心静脈カテーテル挿入時にはfull barrier precaution (消毒済み手袋、long-sleeved sterile gown、 mask、 cap、 large sterile sheet drape)でカテーテル関連血管内感染を減少させることができる。

・ドレッシング
カテーテル部のドレッシングは2つのメタアナリシスで、ガーゼドレッシングと澄明ドレッシングで相違がないことがしめされたが、解析上問題があった。カテーテル感染がガーゼドレッシングで減少させたという報告と有意差がないという報告がある。
もしカテーテル挿入部位に血液のしみ出しがあればガーゼドレッシングの方が好まれるである。

・軟膏
3種混合軟膏Ointments(polymyxin, bacitracin,neomycin) :細菌感染予防効果は有るかもしれないが、真菌コロナイゼーションを増やすため推奨されてない。
PVI軟膏:一定した効果の報告がない、ただし、透析用の部位には効果が証明されている。AIDSや肝硬変のような患者で黄色ブドウ球菌キャリアの場合は考慮されるべき

mupirocin軟膏:黄色ぶどう球菌感染は減少させるが、長期使用にて耐性化、ポリウレタン素材とのintegrityの問題で、推奨されない

・管理
カテーテルを過剰に取り扱うと感染増悪。
1:1看護から1:2看護へ減らすと感染増加
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by internalmedicine | 2005-04-09 13:24 | 医療一般  

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