Chronic Idiopathic Cough:慢性特発性咳嗽 新しい病名?

1 慢性咳嗽に関する鑑別診断
後鼻漏症候群、喘息(咳喘息、アトピー性咳を含む)、逆流性食道炎などがあげられるが、どうも原因のはっきりしない咳嗽の一群があり、それをひとつの臨床的な範疇としてまとめようとする動きがあるようです。
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2 文献
Chronic Idiopathic Cough              A Discrete Clinical Entity?
(Chest. 2005;127:1710-1713.)
http://www.chestjournal.org/cgi/content/abstract/127/5/1710

目的:専門的な咳嗽クリニックの成功にかかわらず、系統的な検査にかかわらず診断不能の慢性咳患者の一群が増加している。この状況下の慢性咳嗽をCID(慢性特発性咳嗽)と呼び、非CIC との臨床的特徴を比較した。

デザイン:慢性咳嗽患者のカルテの後顧的分析Setting: The Royal Brompton Hospital Chronic Cough Clinic, London. 患者:100名の慢性咳、Royal  
Brompton  Hospitarl  cough Clinic

結果:71%が女性。年齢中央値57歳(範囲19-81 歳)、症状持続中央値48ヶ月2-384ヶ月)。診断はCIC(42CIC患者において、非CIC とは、受診時年齢、発症年齢、女性の比率は有意差なし。CIC では、咳嗽期間が長く(72 months vs 24 months, p = 0.002)、咳の
引き金として、より上気道感染に影響を受けやすい(48capsaicin 反応の閾値が有意に低い(0.009 vs 0.592, p = 0.032) という特徴がある。
結論:CIC の患者は通常URTIとして記載され、咳に始まり、数年に続き、咳感受性が高いという特徴を有する。CIC は独立した臨床的な概念であると思われる。基礎的な病理に関してはまだ同定されていない。


3 感想
咳嗽研究会http://www2.eisai.co.jp/netconf/cough/c spe.htm などが鑑別の参考などを出してますが、CIC に関する記載は当然ながらありません。整合性が日本での課題となることでしょう。

by internalmedicine | 2005-05-18 20:25 | 呼吸器系  

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