ケーススタディー:肺癌低リスク対象者のCT希望をどうするか・・・・・


60才女性20年前禁煙。以前は10年間1箱。他に病歴無し。健康状態は良好で運動も定期的に行っている。彼女の夫は少なくとも30年1日1箱のたばこを吸い、10年前に禁煙。彼女は彼女と夫が肺癌CT検診を受けるべきかと尋ねてきた。あなたはどうするか?
New Engl J Med Volume 352:2714-2720 June 30, 2005 Number 26 James L. Mulshine, M.D., and Daniel C. Sullivan, M.D.


<専門学会のガイドライン>
・ アメリカ肺癌学会は無症候性リスク患者に対するCT検診を引き続き推奨しない。  自身が検診を希望している重度喫煙歴を有する多くの患者がいるということが認識されていて、アメリカ癌学会は医師と検診に関して話し合い、診断・フォローのための集学的研究グループと結びつく多くの専門家のいる経験のあるセンターで行うことが望ましいとしている。

・U.S. Preventive Services Task Forceも2003年1月のレビュー(www.ahrq.gov/clinic/uspstf/uspslung.htm)で検診に対する早期推奨に反対して、肺癌を示唆する症状のない対象者CTを使用することに推奨しない

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* 今後4-5年現在進行形のランダムトライアルで利用できるデータはない。
* 高リスク患者(たとえば、重度喫煙歴)のCT検診の観察研究の結果は病期I(比較的治癒可能性の高い病期)では肺癌の診断確率が高いことを示唆
* CT検診が非石灰化結節陰影を見出すが、肺癌であるのはそのうちの一部にすぎない
* 重大なリスクを伴うコスト的に侵襲的手技が結節性陰影評価のため必要となる
* 診断的workupはこのような評価に経験ある医師が行うべきである
* 集学的研究な分野(胸部外科・肺疾患など)で経験を多くもち信頼性のある医師のいる施設での選別が最適なアウトカムにとってcriticalである。
* 喫煙者にその健康を改善するもっとも有効な方法は禁煙である。
* 治癒切除後の継続する肺癌リスクの増加は続き、サーベイランスは必須である。
* 検診マネージメントトライアルがCT検診の評価のため用いられている
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肺癌CT検診は重度喫煙者の肺癌ケースの病期Iの診断パーセンテージが増加しているように見えるが、ランダムトライアルではまだ死亡率を減少させるかどうかの評価に耐えられる結果が未だ出ていない。ほかの状況でも熟練したセンターでも有望な報告がでてきていない。上記ケースでは20箱×年に到達していないケースで、肺癌リスクが少ないケースでは、検診によるbenefitより医原性有害性リスクの方が高い。この点で、著者らはCT検診を上記ケースでは推奨しないと結論づけている  。

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<PET関連>
PET導入による検診戦略も提案されている。これも高リスク対象者のみ・・
1035名の高リスク患者で42名の結節疑診例で、20例で陽性、18例で肺癌の確定:Early lung-cancer detection with spiral CT and positron emission tomography in heavy smokers: 2-year results. Lancet 2003;362:593-597.

PET検診ツアーなどリスク層別化されず、リスクのない対象者に半分遊びの“人間ドック”なるもので発見された場合、貴重な保険資源が利用されるリスクがあることを行政者は理解すべきだし、対処すべきである。
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日本のいわゆる“人間ドック”は節操が無く、リスクの層別化なしで、その意義に関してやりっぱなしなのだが・・・<骨粗しょう症に関する検診:http://intmed.exblog.jp/1437674/

by internalmedicine | 2005-06-30 11:32 | 呼吸器系  

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