いまSARSが再燃・流行したら、治療法は?

ある致命的となりえるウィルス性疾患Xがある地域に発生した。治療法が確立しておらず、そのとき利用できる抗ウィルス薬αを使用した。それまでの別疾患治療の経験から、治療薬αの副作用はβという副作用があることは自明であった。副作用βはXという病状を悪化させる可能性のあるものであった。日本のマスコミはこぞって治療薬αを使用したことを非難するでしょう。これが外国であったことなら、そのときだけ冷静に日本のマスコミは報道するだけでしょう。医師としては、助かる可能性があるなら、それが直接の死因につながらなければそのときは抗ウィルス作用を第一に考えるでしょう。



抗ウィルス薬として使用したリバビリンの副作用である貧血がSARSの病態を悪化させた可能性があります。ウィルス性肝炎に頻用されるようになっており、すでに副作用は知られておりま
したが、その副作用である貧血の程度と予後が関係あったことはショッキングでしょう。


Adverse Effects of Ribavirin and Outcome in Severe Acute Respiratory Syndrome
(Chest. 2005;128:263-272.)
http://www.chestjournal.org/cgi/content/abstract/128/1/263

ribavirin治療を受けたSARS患者は平均ピークCRP・LDHが非投与群に比べ高い値。
死亡率も高かったが、有意差はなかった。
多変量解析でヘモグロビン値は低酸素血症と死亡率と関連する因子(odds ratio, 2.0; 95% confidence interval, 1.1 to 3.8; p = 0.03)
Rivabirin投与SARS患者の2/3(32/44 73%)で抗ウィルス薬開始3日でヘモグロビンの減少がみられた。Hb > 2g/dLの低下は有意に他の患者より死亡率が高かった。
ribavirin投与SARS患者の1/3(17/44 39%)が低酸素血症に進展、すべて貧血があった。
17名の低酸素血症患者のうち、11(65%)がヘモグロビン > 2g/dLの低下、うち4名が輸血必要。

ribavirin投与患者の内、Hb減少の平均スロープは低酸素血症患者で非低酸素血症患者よりsteepである。

rivabirin投与されなかったSARS患者のうち1名のみ貧血であたが、この人は低酸素でなかった。低酸素かつ貧血SARS患者17名の内5名が死亡。低酸素血症と貧血の組合せは有意に死亡率増加と関与(p < 0.001)



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現在、もしSARSがひろがったら医師はどういう治療法をするでしょう。
http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/の治療の項目を見てください。
 ↓
http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/GDID-04.html

これが国の機関の答えです。


のど元をすぎれば熱さを忘れる・・・国の機関




ところで、沖縄ではインフルエンザが流行しているとのこと、スペインかぜも夏場に流行したため、緊急調査でも必要なのでは・・・
夏場にインフルエンザ/6月下旬から急増

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200507021700_01.html

インフルエンザ流行 夏場に異例の患者数 小中で学級閉鎖も
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-4043-storytopic-1.html

by internalmedicine | 2005-07-13 14:18 | 感染症  

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