アスベストと中皮腫 (NEJM Editorialや医事新報から・・)

アスベスト関連の中皮腫に有用な血中マーカー出現はNEJMだから、Editorialが当然あると・・・問題となるExposure riskに関するところを抜粋・拙訳すると・・・

悪性中皮腫の進展:  Advances in Malignant Mesothelioma
NEJM Volume 353:1591-1603 October 13, 2005 Number 15
http://content.nejm.org/cgi/content/full/353/15/1591
悪性中皮腫の世界的な発生増加は、10-20年後ピークを迎えるとは期待できない。USではピークの発生をすでに迎えており、ヨーロッパ、オーストラリアでは今後10-15年に生じると期待することはできない。
さらに、日本や非西洋国では、西洋よりアスベスト使用が多く行われ、中皮腫の頻度のピークの遅れに関連する。
職業性の健康コントロールが強くなされねば、発展途上国におけるアスベストの使用増大は数十年悪性中皮腫の発生数を増加することともなる。

悪性中皮腫は、3つの主なコホートがなされている。
1つは、職業上の直接のアスベスト暴露した人へのもので、おもにminingやmillingの間のblue asbestosの暴露である。この暴露群コホートがもっともクリアで、blue-asbestoes mineにおいて生じたもので、オーストラリア、Wittenoomでのもので、もっとも歴史上最悪の職業性疾患と言われている。
アスベストの重度暴露であるminersだけでなく、soft asbestosも使われている、街の校庭、運動場をカバーする硝子の変わりに用いられ、そこで遊ぶ子供に主に生じる、、中皮腫の巨大なoutbreakにつながる。

引き続いて、アスベスト関連疾患は工程の過程、アスベストによる産物使用で後の暴露される作業員でも注目されている、たとえば配管工、大工、アスベスト施設の組み立て工、警備員など。


悪性中皮腫の1/3、20-30%までがアスベスト暴露との関連不明で、先進国中の多彩な要因をもつ大気中で生じることなどから生じている可能性。
:引用文献:de Klerk NH, Musk AW. Epidemiology of mesothelioma. In: Robinson BWS, Chahinian PA, eds. Mesothelioma. London: Martin Dunitz, 2002:339-50.

悪性中皮腫家族集積の報告があるが、トルコのCappadociaの研究では優生遺伝パターンを示す1つのclusterの報告がある
と、あります。

残念ながら、アスベスト環境曝露と中皮腫の関係の一次資料はここでも見つけられませんでした。二次資料から環境曝露のリスクを想定しているだけの、いっちゃなんだけど妄想レビューでした。(NEJMもレベル低下したものだ・・・)



日本医事新報 No.4247(2005年9月17日)の方が良いReviewと個人的には思えます。
クリソタイルは中皮腫を発生させないとする説が流布されたが、中皮腫発生の危険性を否定するものでなく、本邦でも2,004年から建材、摩擦材、接着剤への使用が禁止された。2,005年6月現在、発電所の配電盤で死傷する電気絶縁盤や、化学プラントの排管の接合部分に用いるシール剤などは、安全性の面から代換品が無く、例外的に使用を認められているが、全面禁止に向けて進行している。
昭和時代の中皮腫は曝露された石綿量が大量で、クロノシドライトが中心に検出され、原発部位や組織型が多彩であるのに対して、平成時代のそれは曝露石綿量が10分の1と少なく、検出石綿種類は様々で、原発部位は胸膜、組織型は上皮型が多く診られている。
本邦での中皮腫の年間志望者数は、1,995年が500例、2,000年が710例、2,003年が890例と増加傾向にあるが、先進諸国の中ではきわめて少ない。これは医療従事者や患者、事業主の中皮腫に対する理解の欠如が関与していることが示唆され・・・

SV40(simian virus 40)の関与も認められている。

かつての中皮腫の肉眼分類は限局性とびまん性であり、びまん性は全例悪性であるが、限局性には良性と悪性があるとされていた。そして、石綿と密接な関係のある中皮腫はびまん性悪性中皮腫であるといわれてきた。しかし、LFT(localized (solitary) fibrous tumor)の概念が確立し、1999年のWHO腫瘍組織分類から、これまで良性中皮腫や良性線維性中皮腫と呼ばれてきた腫瘍は中皮腫の概念から除かれた。よって、中皮腫由来の良性腫瘍はアデノ纏戸腫瘍のみとなった。また、限局性の肉腫型中皮腫とされてきた腫瘍もLFTの悪性型の範疇となった。従って、中皮腫といえばすべて悪性を示す。
(一部抜粋)


朝日新聞に見られるアスベスト中皮腫報道のいい加減さ(http://intmed.exblog.jp/2209149/)と当方の関連Blogは、
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1)まだ第3者から批評ををうけていない(レフリーのある論文>質疑応答などのある学会発表)発表を断言的に新聞でほうどうすることに対する批判
2)アスベストもいろいろあり、残存していたアスベストと中皮腫とより関連があることが明瞭なアスベストは別種であり、さらに環境曝露に関する論文は確定的なものはない(NEJMのEditorialも、環境曝露に関しては一次資料でない)が、一方的な意見だけかかれていること。
3)調査組織、非検査集団に偏りはなかったのか?行政による調査でなく、民間病院調査が主体であり、客観性をもたせるには抽出方法にもともと疑問がある
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を、述べたつもりです。

代換できるものがあれば代換すべきだし、できないものに対してはできうる限りの予防的な施策がなされるべきであるということには異論はないのです。
しかし、中皮腫が100%アスベスト原因であるとはだれも言い切ってないのです。


科学性が、直感や感情や直情に頼るメディアの前に、ねじまげられることが多く見られます。最近というより、昔は、もっとひどかったのでしょう。
新聞やテレビというメディアを盲信する人は高齢者ほど多い印象があるけど・・・日本のメディアの政府からの独立度は国際的レベルとしては中位ですよ。
記者クラブの存在からしてもっと下位でもおかしくないと思うのですが・・
ある種の市民団体の御用新聞化しているところもあり・・・新聞、それを情報ソースとするテレビというのはもともと偏ったメッセージが含まれていると思った方がよいと思われ・・・なにせ・・・アスベストに関してはNEJMのレビュー氏もあてにならないくらいだし

by internalmedicine | 2005-10-13 12:05 | 呼吸器系  

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