高脂血症の食事指導は低炭水化物食が低脂肪食に優るが・・・副作用あり


高脂血症に限らず、栄養療法・運動療法に関しては、みてきたような嘘が多いと私は感じてます。 ようするに、エビデンスが少なすぎる・・にもかかわらず、指導がなされている。
Hyperlipidemia medical nutrition therapy protocol NGC guideline
のきなみエビデンスレベルが低い・・DASH食くらいでしょうか?

高脂血症に関して厚労省御用達指導栄養指導では
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総摂取エネルギーの適正化
  適正エネルギー摂取量=標準体重*×25~30(kcal)
*標準体重=[身長(m)]× [身長(m)]×22
・ 炭水化物:60%
・ たんぱく質:15~20%(獣鳥肉より魚肉・大豆たんぱくを多くする)
・ 脂肪:20~25%(獣鳥性脂肪を少なくし、植物性・魚類性脂肪を多くする)
・ コレステロール:1日300mg以下
など
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となってます。


身長155.7cmの日本人が、基礎代謝にちかい25Kcal/日×kg標準体重で指導されると、炭水化物200g/日になります。

ところが、下記論文だと・・・かなり少ない炭水化物食となります。
 ↓
高脂血症食事療法は低炭水化物食が低脂肪食に優る
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A Low-Carbohydrate, Ketogenic Diet versus a Low-Fat Diet To Treat Obesity and Hyperlipidemia
A Randomized, Controlled Trial
Ann Int Med 18 May 2004 | Volume 140 Issue 10 | Pages 769-777

低炭水化物食と低脂肪食の比較
・低炭水化物食:炭水化物:<20g/日+栄養サプリメント+運動推奨、グループミーティング
・低脂肪食:エネルギー中30%未満、コレステロール<300mg/日、500~1000kcal/日減少)+運動推奨+グループミーティング


比率は低炭水化物食より低脂肪食の方が少ない。
24週時、体重減少は低炭水化物食の方が優れている(平均変化, –12.9% vs. –6.7%; P < 0.001)
脂肪量は両群で減少(変化量: 低炭水化物食:–9.4 kg vs 低脂肪食: –4.8 kg )
脂肪を含まない量としても減少(変化量: 低炭水化物食:–3.3 kg vs. 低脂肪食:–2.4 kg)

低脂肪食にくらべ、低炭水化物食では
・中性脂肪減少の程度が大きい(変化量:低炭水化物食:–0.84 mmol/L vs. 低脂肪食:–0.31 mmol/L [–74.2 mg/dL vs. –27.9 mg/dL]; P = 0.004)
・HDLコレステロール増加が大きい(変化量:低炭水化物食:0.14 mmol/L vs. 低脂肪食:–0.04 mmol/L [5.5 mg/dL vs. –1.6 mg/dL]; P < 0.001)
・LDLコレステロール値は差がない (変化量:低炭水化物食:0.04 mmol/L [1.6 mg/dL] vs 低脂肪食:–0.19 mmol/L [–7.4 mg/dL] p=0.2)

副作用:低炭水化物食が多い
・便秘、頭痛、口臭、筋クランプ、下痢、全身倦怠、皮疹(なぜか13%)
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困ったことに、低炭水化物食の効果はあるようですが、極端な量では、副作用は結構多いようです。
で、耐用性のある食事ではなさそう・・・




だれですか・・・薬の悪さばかり言って・・・>みのもんた
食事療法でも副作用が多いのだ!


それと、栄養指導で、やたらと低脂肪だけを指導する向きがありますが、根拠薄弱と言うことになりそうです。


<お断り>H16.5.20 午後3:58まで上記炭水化物食の例示の量を誤って計算しておりました。訂正した分をご参照くださいませ。

by internalmedicine | 2004-05-20 12:10 | 医学  

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