老人ではβ‐遮断剤は降圧剤第一選択ではない

Lindholmらの最近発表されたメタアナリシスでは、第一選択薬としてのβ‐遮断剤使用の18のランダム化試験で、高齢者に関してβ‐遮断剤による卒中の超過発生を指摘されている。
そして、β遮断剤が高齢者に於いて第一選択薬ではないという結論づけがなさ得ている。

高血圧治療に使うべきではないとの結論に関して、老人と若年者では高血圧の病態生理が違うにも関わらず、β遮断剤が他薬剤とともに第一選択とされてきた。
今回の論文は、異なる年齢群での有効性を明瞭化するためのメタアナリシスで、プライマリアウトカムは、卒中・心筋梗塞・死亡というもの

Re-examining the efficacy of ß-blockers for the treatment of hypertension: a meta-analysis
CMAJ • June 6, 2006; 174 (12).
老人(平均ベースライン60歳)・若年者(<60歳未満)
【結果】14811名、21トライアルからのデータで、偽薬対照トライアルで、β遮断剤は若年群では心血管アウトカムを減少 (risk ratio [RR] 0.86, 95% CI 0.74–0.99)するが、高齢群では減少させず(RR 0.89, 95% CI 0.75–1.05)

積極的なcomparator trialsでは若年者では他の降圧薬と同様の効果
, ß-blockers demonstrated similar efficacy to other antihypertensive agents in younger patients (1515 events in 30 412 patients, RR 0.97, 95% CI 0.88–1.07) 、しかし、老人では卒中超過リスク(RR 1.18, 95% CI 1.07–1.30)をともなうとともにリスク増加がある (RR 1.06, 95% CI 1.01–1.10)






市販後調査の形を借りたβ‐遮断剤を含む対照治験がなされているが、これとて、85歳までが対象者であり、倫理的に問題が発生していると考えるべきと思うのだが・・・いかにトライアル責任者はどう対処するのか。・・・注目されるだろう。

by internalmedicine | 2006-06-12 14:05 | 動脈硬化/循環器  

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