認知症・アルツハイマー病に関してホモシステイン濃度は独立した予後因子

認知機能障害の頻度は年齢とともに増加し、加齢人工の増加とともに社会的関心となってきている。ホモシステイン値がこの認知機能低下のリスク要因であり、治療介入可能である可能性が考えられた。Alzheimer病疑い・確定診断例にて対照群よりホモシステイン濃度が高いという報告(123
8年間でホモシステイン濃度>14μmol/l超過対象者は、低濃度対象者よりアルツハイマー病発症しやすいという研究結果(NEJM 346:476-483 Feb 14 2002(7))がもたらされた。

さらに多数の横断研究にてホモシステイン値と認知機能のパフォーマンスの逆相関の報告がもたらされている。


2年間の、血中ホモシステイン濃度増加老人に比べ、減少老人では認知機能が優れているかどうかを検証するトライアル

Plasma Homocysteine as a Risk Factor for Dementia and Alzheimer's Disease
Volume 346:476-483 February 14, 2002 Number 7
【方法】1092名の認知症無しの対象者(667名の女性、425名の男性;平均年齢 76歳)・Framingham研究サンプル
ベースラインでの血中総ホモシステイン値を測定し、新規発症認知症フォローアップ8年間
多変量解析(年齢、性別、apolipoprotein E genotype、ホモシステイン値以外の血管リスク要因、葉酸、ビタミンB12、B6
【結果】8年フォローアップ期間中央値にて、認知症111名発症、うちアルツハイマー病83名の診断

ベースラインもしくは8年以前の、ホモシステイン値対数変換値における 1 SD の増加に対する、認知症の多変量補正相対リスクは1.4(95%CI 1.1-1.9)


同様な手法で表したところの、、1 SDあたり増加に対するAlzheimer病の相対リスクは ベースラインでの1SD 増加あたり1.8(95%CI 1.3-2.5)で、ベースライン前の1SD増加あたりにつき1.6(95%CI 1.2-2.1)

血中ホモシステイン値 14μmol/l超過値は、アルツハイマーのリスクを倍加する

【結論】血中ホモシステイン値の増加は、アルツハイマー病の認知症進展の強い、独立したリスク要因である。



本文中に書かれているが、

葉酸による治療、他のB6、B12の併、穀草類種子産物を含む食事サプリメントなどは血中のホモシステイン値を減少させる可能性がある。しかし、Framingham研究での対象者でのホモシステイン値は16次、20次調査より減少しており、このコホートを現在そのまま当てはめることはできない可能性がある。
さらに、ビタミンサプリメントで、認知症を減少させるという前向き研究トライアルは存在しないので、この知見をそのまま医療行政や治療推奨に使うことはできない

・・・サプリメント業者や軽薄なお医者さんたち最後の文面をよく見ていてほしい


へんな宣伝に使われそうな予感を感じるので・・・先に書いておく

by internalmedicine | 2006-06-29 13:01 | 医療一般  

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