結合型肺炎球菌ワクチンは確かに対象とする血清型肺炎球菌には効くが、黄色ブドウ球菌を増やす その意義?

肺炎球菌結合ワクチンに対する復習
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・幼児および小児の侵襲性肺炎球菌性疾患予防薬である7価結合型肺炎球菌ワクチンが、新たに中耳炎予防薬として承認された。
・乳幼児は従来の23価ポリサッカライドワクチンよりも本7価結合型ワクチンに対する反応のほうが強い。
・耳感染の25%は本ワクチンに含まれる7つの血清型のいずれかが原因と考えられている。
・CDCの予防接種諮問委員会では2歳未満のすべての小児と、2-5歳の高リスク児に対する接種を勧めている。
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引用


ということで・・・


急性中耳炎に対する肺炎球菌結合ワクチンの有効性
N Engl J Med 2001; 344 : 403 - 9
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試験ワクチンに含有されていた血清型と交差反応性を有する血清型に起因した急性中耳炎のエピソード件数は 51%減少したのに対して,その他のすべての血清型による急性中耳炎のエピソード件数は 33%増加した
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ここの前半まではよいのですが・・・・

この後のほうの文章“他のすべての血清型による急性中耳炎のエピソード件数33%増加した”ってのが問題。


肺炎球菌に対する効果としては、PRSP対策としては良いのでしょうが・・・


下記Lancetの文献によると、“黄色ブドウ球菌とワクチンタイプの肺炎球菌の共生コロニー形成は負の相関で有るが、黄色ブドウ球菌と非ワクチンタイプの肺炎球菌は負の相関はない。故に、ワクチンタイプの肺炎球菌と黄色ブドウ球菌のコロニー化との間に自然な競合関係がある。”ということで、結局ワクチン対象のセロタイプの肺炎球菌には効くけど・・・黄色ブドウ球菌のをふやしてしまう・・・ことになりそうです。
こりゃ、いいのかわるいのか?


Colonisation by Streptococcus pneumoniae and Staphylococcus aureus in healthy children
Lancet Volume 363, Number 9424 05 June 2004
トライアルによると、繰り返す急性中耳炎を有する7つの肺炎球菌結合ワクチン(PCV)のトライアルではワクチンにないセロタイプの肺炎球菌のコロニー化
と、黄色ブドウ球菌による中耳炎増加がみられる。3198名の1-19歳の健常な子供に肺炎球菌と黄色ブドウ球菌の鼻腔保菌状況を検討。鼻腔肺炎球菌の保菌は598(19%)、年齢とともに変化(ピークは3歳)で、託児所利用で多い(odds ratio[OR] 2・14, 95% CI 1・44-3・18)。
黄色ブドウ球菌も年齢に影響され(ピークは10歳)で、男の子が多い (OR 1・46, 1・25-1・70)。
セロタイプ別では、42%がワクチンのタイプの肺炎球菌。黄色ブドウ球菌とワクチンタイプの肺炎球菌には負の相関(OR 0・68, 0・48-0・94)、しかし、黄色ブドウ球菌と非ワクチンタイプは相関無し。この発見によりワクチンタイプの肺炎球菌と黄色ブドウ球菌のコロニーに競合的関係があることが判明した。これにより肺炎球菌ワクチン後、黄色ブドウ球菌による中耳炎が増加する理由となる
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中耳炎全体に対するインパクトはいかなるものか?コスト・ベネフィットは・・・?と疑問

by internalmedicine | 2004-06-04 17:07 | 呼吸器系  

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