女性は喫煙による肺癌感受性高いが生存予後は比較的良好

表題通りの結論だが、背景のCT検診に、徹底した合理性がある。だから、導き出された結論といえる。

Women's Susceptibility to Tobacco Carcinogens and Survival After Diagnosis of Lung Cancer
International Early Lung Cancer Action Program Investigators
JAMA. 2006;296:180-184.
女性はタバコの発癌物質により感受性が高い、そして、いづれもガン診断後であり、男性より予後がよいという仮説実証
【目的】喫煙女性の肺癌リスクと肺癌診断後の生存率、他の予後指標の条件、喫煙女性の同年代男性比較のエビデンスを加える目的、同じ年齢の喫煙男性との比較

【デザイン・状況・参加者】肺癌のCT検診・肺癌診断フォローアップをベースにした非実験的、疫学的研究、7498名の女性と9427名の男性の検診。無症状、40歳、喫煙歴あるもの
【メインアウトカム】
男性と女性を比較した結果、検診発見肺癌出現頻度オッズ比、肺癌の致死的アウトカムハザード比(喫煙歴、疾患病期、腫瘍タイプ、切除という条件付け)

【結果】
肺癌女性156名、男性113名で、それぞれ比率2.1% 1.2%。
男性との比較オッズ比は1.9(95%CI 1.5-2.5)
肺癌の致死的アウトカムハザード比としては男性にくらべ女性は0.48(95%CI 0.25-0.89)

【結論】女性はタバコ発癌物質に対する感受性が高いが、致命的なアウトカム比率は少ない。




UICC World Cancer Congress 2006CT検査を用いた検診は日本の胸部単純写真検診を統合する形で1993年からアメリカで行われ、胸部レントゲンより小型、早期肺癌検知に意義あるという一致した結論がある。Early Lung Cancer Action Project (ELCAP) はホットな話題となった。
しかしながら以下の報告には研究方法の欠陥が指摘されている。
Dominioni L, Strauss GM. Consensus Statement. International Conference on Prevention and Early Diagnosis of Lung Cancer. Cancer 1999; 23:171-172

Henschke CI, Yankelevitz DF, Kostis WJ. CT Screening for Lung Cancer: Bias, Shift and Controversies. (In Multidetector-Row CT of the Thorax, ed. U.J. Schoepf) Springer Verlag, Berlin, Germany 2003

Kimmel M, Gorlova OY, Henschke CI. Modeling lung cancer screening. (In Quantitative Methods for Cancer and Human Health Risk Assessment, eds: L. Edler and C. Kitsos), Wiley and Sons. 2005

Miettinen OS, Yankelevitz DF, Henschke CI. Evaluation of screening for a cancer: annotated catechism of the Gold Standard creed. Journal of Evaluation in Clinical Practice 2003;9:145-150


I-ELCAP regimenは初回低用量CTにて開始し、陽性ならrule-in診断としてよく考えられたalgorithmである。増大の評価もこのレジメンのcritical partとして存在する。最終的には生検、針吸引生検がこのレジメンの重要な構成要因である。
増大と生検がこのレジメンの重要な構成成分であり、非必要な生検・手術を限定する事となるのである。過剰診断、低成長の癌を治療しないのに死に至らしめることが問題である。
2005年12月、32000名以上がスクリーニングに参加し、23000の反復したスクリーニングがオリジナルELCAPを含めI-ELCAPが38施設で行われ、さらにニューヨーク州へ広がりNY-ELCAPというレジメンへ広がりを見せている。




禁煙学会のネーミングを批判したら、喫煙の有害性まで否定しているととらえた勘違いTBがあった。科学的実証をふまえた議論に多くは慣れておらず、無自覚・低自覚のまま、狭量な議論に終始することが多い、喫煙・禁煙の議論

日本の肺癌検診はなぜか一部外国の研究者に恥ずかしいくらい評価されている。これは画像診断の重要性を強調する他面の引用として用いられているにすぎないと私は思うのだが、勘違いした一部にひとが、日本の検診はこのままでよいのだと主張・・・につながっていると思う。ELCAPはCTで病変を見つけることを最終アウトカムにしていない。このような検討が国際的にも求められるようになってるのだと思う。

by internalmedicine | 2006-07-12 09:49 | 呼吸器系  

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