蜂針除去

今年もハチ刺症が多い。7月だけでアナフィラキシー4名来院。アナフィラキシー医療機関にはなってるのだが、今年はエピペン希望者ゼロ。


ハチの針除去法ということに注目してみる・・・・



ハチの針は他の有毒昆虫と異なり、本体から針を分離するという特徴がある。
腹部、神経節、筋肉構造、毒嚢、消化管の遠位端となっている。針自体は、2つのランセットからなり、外套によりカバーされている。

ハチ針の構造


日本アレルギー協会とやらのウェブサイトにはハチ刺時の局所的処置としては“冷水で冷やし四肢を刺された場合心臓に近い方をゴムなどで縛る”と書かれており、除去法が書かれてない。
アナフィラキシー対策フォーラムでは、“ハチの毒針が残っていたら直ちに爪等で取り除いてください。皮膚に残った毒針を強く押したり、つまんだり、皮膚に深く押し込んだりしないでください。また、ハチ毒吸引器をもっている場合はハチ毒を吸い出してから、患部を冷やします。手足を刺された場合は心臓に近いところを縛るなどの処置もあわせて行います”と書かれている。

以下の記載とほぼ同様の処置である(若干異なることもあるが・・・)。

CDC関連ウェブでは、刺された場合:
1.アレルギー反応がでないということを確認するまで誰かがそばにいること
2.部位を石けん・水であらうこと
3.針は4×4インチガーゼで部位周辺をふきとるか、領域を指爪で削るようにすること
ただし、針を絞り出したり、ピンセットを用いてはならない
。皮膚・筋肉内へのvenomのさらなる注入につながる
4.腫脹部位に氷をあてる
5.刺入部位をこすってはならない。腫脹や痒みを増加させ、感染の危険を増す。



胃連れの対処方法も、以下の論文がきれいに忘れ去られてるのか、無視されているようである。
発赤径と毒による反応(envenomisation)は、刺入後から除去までの時間が増加するほど、数秒以内に増加する。scrap(そぎ取り)とpinch off(むしりとり)での差はない。(Lancet 1996; 348: 301.02、pdf
それまでは、多くの文献で、蜂針の迅速な除去がアドバイスされており、迅速に除去するべきであるとされるが、その方法は、ナイフ刀、クレジットカードによるscrap-off(そぎ取り)であり、ピンセットや指によるpinchingによるpluck out(むしり取り)はすべきでないというものであったが、その方法による差異はない



メルクマニュアルでは、“どのような方法でもかまわないので、できるだけ早く針を除去します”と書かれている。


いづれにせよ、針除去の時間は早いほうがよろしい・・しかも秒単位で急ぐ必要がある。



市販のpoison extractorが販売されており、即座の処置としては効果は期待できると考えらる。しかし、皮下に注入されたものが、対外にすべて出されるかは不確定であり、大本の針除去が重要であり、医学的考察はその除去に集中している。しかし、その方法論に関し、まだコンセンサスが十分得られてないように思う。

by internalmedicine | 2006-08-09 08:59 | 医療一般  

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