メタボリックシンドロームに対するアトルバスタチン心血管疾患二次予防(TNT study post hoc解析)


メタボリックシンドロームに関する議論、どうもヒートアップするようで、どうも意図を理解していただけず、持論を一方的に述べられて、終了ということが多い。
私の意見なんて、一開業医であり、だれも信用してくれないし、まぁいいや(いじけ・・・)


下記Lancet論文から、NCEP-ATP、International Diabetes Federationなどでも、高血圧、血糖増加、トリグリセリド増加、低HDL、腹部周囲径など若干異なるクライテリアにて規定されているが、基本的には“ the clustering of cardiovascular risk factors including insulin resistance, obesity, hypertension, and dyslipidaemia, and has been closely linked to the development of diabetes and cardiovascular disease”と書かれている。
すなわち、メタボリックシンドロームとは、糖尿病・心血管疾患進展リスク要因のcluster、寄せ集めということである。

寄せ集めなので、恣意的に規定できる!

・・・より、独立した要因として浮かび上がらない限り・・・疑念はふっしょくされないのであるが・・・一開業医の意見なんて・・・・


Treating to New Targets (TNT) study のpost-hocということで、メタボリックシンドロームという要因を前向きに研究した論文といえるのか疑問に感じるのだが、既存冠動脈疾患患者、いわば二次予防におけるメタボリックシンドロームの意義の考察につながるかもしれない論文・・・だまってても、治療に製薬会社が宣伝するだろうが・・・根本概念の存在理由がいまだ私にはよく分からない・・・


Reduction of low-density lipoprotein cholesterol in patients with coronary heart disease and metabolic syndrome: analysis of the Treating to New Targets study
The Lancet 2006; 368:919-928
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140673606692921/abstract
前向き二重盲検並行群トライアルで、1998年4月から2004年8月までの256カ所、1001名患者(35-75歳)の既存冠動脈疾患患者、中央値フォローアップ4.9年
atorvastatin 10mg/日(n=2820) vs 80mg/日(n=2764)比較
プライマリアウトカムは初回のmajor cardiovascular event((冠動脈疾患死、非致死的・非治療心筋梗塞、蘇生された心停止、致命的・非致命的卒中)

治療中のLDLコレステロールは3ヶ月時点で
10mg群:2.6 mmol/L (99.3 mg/dL)
80mg群:1.9 mmol/L (72・6 mg/dL)

4.9年フォローアップにて
・major cardiovascular event
10mg:13%
80mg:9.5%
(hazard ratio 0・71; 95% CI 0・61?0・84; p<0・0001).

治療割り当てと関連無く、メタボリックシンドロームを有する患者群で、major cardiovascular eventが多かった
8.0% ハザード比 1.44(95%CI 1.26-1.64 p<0.0001)
Irrespective of treatment assignment, significantly more patients with metabolic syndrome (11・3%) had a major cardiovascular event at a median of 4・9 years than those without metabolic syndrome (8・0%; hazard ratio 1・44; 95% CI 1・26?1・64; p<0・0001).

この超過リスクはatorvastatin 80mgにて有意に減少させた。

by internalmedicine | 2006-09-09 10:51 | 動脈硬化/循環器  

<< ばかな新聞社がまだ存在する 人間ドックというふざけた言葉 >>