造影剤アナフィラキシーショック予防の有用性は少ない

造影剤によるショックはアナフィラキシー反応ではなく、アナフィラキシー様反応と区別され、“アナフィラキシー様反応は、アレルギー反応でありません。アナフィラキシー様反応は、アレルギー反応に関与する抗体であるIgEが引き起こすのではなく、物質自体によって引き起こされるものです”と説明されている記述(メルクマニュアル)も存在する。
ここでは、“正確な機序は不明であるが、ヒスタミン遊離とマスト細胞の引き金が重症時関連し、IgE関連のメカニズムが特定のケースで疑われている”という旨の記述と、表題にも“anaphylaxis”と書かれてることでアナフィラキシーと記述する。


検査前に問診を全く行っていないとされて、重大な過失が認められた事例(PDF)がある。
確かに、問診結果をカルテに記載してなかったことは非があるのだろうが、問診にて既往がないということであれば、すべてが否定されたのであろうか?造影剤を使う上での前処置上なんらかのインターベンションが変わったのだろうか?その割には補償額の大き過ぎるのではないだろうか?疑問に感じてしまう。
その死にしめる有責性に配分された補償額を求められるのなら納得がいくが、稀な事例で生じたケースに対しても、死を伴えばそれに比例した金額補償を求められるというのは科学性がないと思う。

BMJのシステミック・レビューを見れば、アナフィラキシーショック事故に関して稀であり、前処置が有効であるという科学的根拠があるにもかかわらず、その頻度の少なさで、前処置を否定しているのである。私などはこの論文は十分に科学的であると思うのだが・・・


前投薬が造影剤の重症アナフィラキシーショック予防に有効でないかもしれないが、9つのトライアルのシステミックレビューにて、造影剤後の生命危機をきたすアナフィラキシーは稀であり、メチルプレドニゾロン経口倍量投与でアナフィラキシー予防の可能性はあるが、対象者数が多いので、この有用性に関しては疑問であると結論づけている論文。
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Severe anaphylaxis due to contrast media is rare and prophylaxis unhelpful
BMJ 2006;333 (30 September)

1975-1996年までの10011成人、9つのトライアルにて、H1抗ヒスタミン(hydroxyzine, clemastine, chlorpheniramine, dimenhydrinate)、コルチコステロイド(betamethasone, dexamethasone, methylprednisolone, prednisolonew6)、H1-H2(clemastine-cimetidine)組み合わせ

2つのトライアル:喉頭浮腫
 oral methylprednisolone 2x32 mg or intravenous prednisolone 250 mg vs 対照 :3/778(0.4%) vs 11/769(1.4%) (オッズ比 95%CI 0.11-0.88)

2つのトライアル:ショック、気管支痙攣、喉頭痙攣
  oral methylprednisolone 2x32 mg vs 対照 :7/3093(0.2%) vs 20/2178(0.9%) (オッズ比 0.28 0.13-0.60)

1つのトライアル:
 intravenous clemastine 0.03 mg/kg+cimetidine 2-5 mg/kg vs 対照 :1/196(0.5%) vs 8/194(4.1%) (オッズ比 0.20 0.05-0.76)






なお、世界的にヨード系造影剤使用は年6000万回にも及ぶそうである。観察データだが、高浸透圧ヨード系造影剤に以前反応した患者は経口プレドニゾン+ジフェニルヒドラミン±エピネフリンをすべきと、GreenbergerとPattersonは結論づけ(J Allergy Clin Immunol. 1991 Apr;87(4):867-72.)られていたとこのと。ただ、専門機関推奨のレジメンもばらつきが見られ、メチルプレドニゾロン+抗ヒスタミン剤の組み合わせや単独のもの、ヒドロコーチゾン静脈注射、ジフェニルヒドラミンの筋肉注射などが見られたそうである。


今、ほとんどの医療機関が“同意書”を求めていると思う。
造影剤アレルギー既往がある事例においては“同意書が法的根拠を持たないという一方向的な司法判断”のため、結果的に萎縮医療を導いているのである。

司法判断が医療の現場をゆがめていると私は思うのだが・・・

by internalmedicine | 2006-09-29 10:48 | 医療一般  

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