いじめ問題

いろんな評論家やコメンテーターやタレントなどがテレビなどで勝手なことをいっているようである。
一時期、いじめの原因が教師であるかのごとき報道が目立ったが、いじめを推定可能な心理学的な特性・評価方法は存在しないという事実。そして、物理的ないじめだけでなく、心理的脅迫なども要因として存在し、登下校時・休み時間もつききりにならない限り監視不可能・・・・故に、学校ばかりにいじめ予防をなすりつけるのはやはり行き過ぎと思う。

推定不能なのだが、子供が説明不能な心理身体的、行動的な兆候(たばこ、アルコール、自傷、自殺思考なども)がある場合は、すべて、ベースにいじめがあることを念頭に置くことということが、米国家庭医学会ウェブに書かれている。

アメリカ医師会は、このいじめ予防キャンペーン活動に盛んなようである。
http://www.stopbullyingnow.hrsa.gov
(Maternal and Child Health Bureauの活動の一部として、いじめ予防キャンペーンにの一部としてリソースキット)

http://www.ama-assn.org/go/violence
(National Advisory Council on Violence and Abuseなどを通してAMAは包括的若年暴力予防トレーニングやアウトリーチなどの活動を行っている)


「いじめ」の定義については、一般的には、「1. 自分より弱いものに対して一方的に、2. 身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、3. 相手が深刻な苦痛を感じているもの」(文科省)<参照:18文科初第711号





家庭医としていじめにどう対応するかについて・・・アメリカ家庭医学雑誌

Childhood Bullying: Implications for Physicians
Am Fam Physician 2004;70:1723-8,1729-30.
【要約】
こどものいじめはいじめっ子とその目標にとって重大なimplicationをもつ

いじめは、繰り返される攻撃のパターンであり、被害者のあきらかな苦痛にもかかわらず、被害者に害をもたらしたり妨害し、パワーの不均衡をリアルに、あるいはそう考えてしまうことにより生じる。

いじめは重篤な学術的、社会的、情緒的、法的な問題を引き起こす。

対いじめ対策の多くの研究により、学校における包括的アプローチが生徒の行動・態度を変化させ、大人の介入受け入れをよくすることが判明している。

いじめ予防の努力は、個々、家族、地域のリスク要因に起因し、その問題の重大性を理解を促進しうる。

両親、教師、医療関係者はいじめられっ子、いじめを見つけるように熟達しなければならない。

医師は、リスク患者の同定、精神的合併症のスクリーニング、問題における家族の相談、地域におけるいじめ予防のadvocationに重要な役割を果たす。




こどもから思春期の間のいじめはどの状況でも起こり、特に典型的なのは学校、登校・帰宅時に生じる。その要因は人種的なもの、学校の状況(都市部・田舎)に係わらず、推定因子とはならない。小学校では女児より男児の多く、高学年にかけて減少する。
男子は身体的、言語的いじめであり、女児は、より微妙な、心理的な手法、疎外、追放、文書による中傷などである。
2001年、the National Institute of Child Health and Human Developmentは、初めて国家的な調査をはじめ、15686名の公私立小学校6年で17%で“時々”以上に“いじめられた”ことが“時々”あると答え、“時々”以上に“いじめた”ことがあるというのは19%であった。6%は両方の経験があると答えている。



いじめ評価
・こどもへの質問
学校でいじめを受けたことがありますか?
どんなことでからかいますか?
あなたの病気・ハンディキャップ・障害についていじめをうけたことがありますか?
ニックネームをもってますか?
いじめられてる他の子どものことを知っていますか?
学校の先生や他の大人に話したこと有りますか?
休憩時、他の子供と遊ぶ、それとも1人?


両親への質問
学校の他の子供と問題がないか、あなたは関心がありますか?
あなたの子供が学校でしばしば1人だということを教師から告げられたことないですか?
あなたのこどもはスクールナース(日本では養護室・養護教諭あたりか)が頻回に訪れますか?
他の子供が自分を悩ましてないか言ったことがないか?
何らかの理由であなたのこどもが悩まされてたり、いじめられたりしていると疑ったことないか?それなら、なぜ?


Adapted with permission from Glew G, Rivara F, Feudtner C. Bullying: children hurting children. Pediatr Rev 2000;21:186.



日本の有識者ってのは、すごく見識が高くて・・・科学的根拠を示さない、となりのおじさんのような発言をするだけで・・・悲しいもの・・・学識者として出たんなら、ちゃんと下準備してでるべきでしょう。まぁ、自殺問題で、輪廻転生などと言っている人も有識者ということで問題だが・・・

by internalmedicine | 2006-11-07 12:21 | 医療一般  

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