赤潮と喘息

タラソテラピーとかあるが、どうもうさんくささを感じている。有害性がなければまぁいいのかなぁ・・と思っていたが、赤潮による喘息悪化の可能性もあるわけだ・・・そして、この麻痺性貝毒を有するKanrenia breviaは日本でも赤潮というか有害藻類ブルームを生じる可能性があるようだ。ほかにも台風後のビブリオなども有名で、日本は四方海に囲まれているわけで一度海からの有害性についても洗い直した方がよいのかもしれない。

Aerosolized Red-Tide Toxins (Brevetoxins) and Asthma
(Chest. 2007;131:187-194.)
http://www.chestjournal.org/cgi/content/abstract/131/1/187
喘息頻度増加、環境要因に対して関心が高まっている。海水中の、Kanrenia brevia、いわゆる赤潮の原因となるは麻痺性貝毒を産生する微細藻類で、メキシコ湾で毎年発生する。K brevisは高度の自然なpolyether toxinで、 brevetoxinと呼ばれるもので、sodium channel blockerでヒスタミン活性の可能性もある。実験動物ではこのbrevetoxinは有意な気管支れん縮をきたす。
ヒトでもフロリダの赤潮aerosol(娯楽や仕事上)暴露後喘息を有する人たちの中に事故報告の呼吸器症状増加が見られた。

海岸で1時間スゴさせた前後で、喘息の医師診断を受けた12歳97名でアンケートとスパイロメトリ施行

水や空気資料採取、環境モニタリング、個々のモニタリングを施行

K brevis赤潮の場合呼吸器症状が有意に増加。
喘息治療を受けている患者において特に、軽度だが有意差のあるFEV1減少、中間努力呼気量、PEFの減少が見られた。

フロリダの赤潮のないときには有意差がなかった。







神経性貝中毒(neurotoxic shellfish poisoning; NSP)は,Karenia brevis (Davis) Hansen et Moestrup (以前はGymonodinium breve)が原因となる。毒 成分であるブレベトキシン群はポリエーテル化 合物で,その作用は麻ひ性貝毒のサキシトキシ ンとは逆であり,ナトリウムチャンネルを過度 に活性化する。本貝毒の発生域は北米とニュー ジーランドに限られており,北米ではK. brevis の大量発生による魚の斃死や,めずらしい所で は哺乳類のマナティーの大量死も報告されてい る。ニュージーランドでは1992年になって初めて 本貝毒が発生し,いきなり280 名をこえる食中毒 事件となった(Bate et al. 1993)。我が国ではいまの ところ本貝毒は発生していないが,K. brevisの存在 は確認されている。ニュージーランドの例からも, その発生と毒性のモニタリングが必要である。(引用:pdf)


この倍の正確には赤潮と区別されるべきものらしく、「赤潮」ではなく,より包括的な語としてHAB (Harmful algal bloom,有害藻類ブルーム) が正しいようである。

海色を変化させするほどの濃度では無いのに,魚介類に被害を与える植物プランクトンも知られている。このような理由から,最近研究者の間では,このような現象に対し,色に因んだ「赤潮」ではなく,より包括的な語としてHAB (Harmful algal bloom,有害藻類ブルーム) が好んで使用されている。


人の様々な疾患を引き起こすほど強力なHABの毒は,その種類によって以下のように分類されている。
麻痺性貝毒Paralytic Shellfish Poisoning(PSP)
下痢性貝毒Diarrheric Shellfish Poisoning(DSP)
・記憶喪失性貝毒Amnestic Shellfish Poisoning(ASP)
・シガテラ毒Ciguatera Fish Poisoning(CFP)
・神経性貝毒Neurotoxic Shellfish Poisoning(NSP)
・藍藻毒Cyanobacterial Toxin Poisoning

この内,日本で報告例が多いものは,PSPとDSPであり,カキ,ホタテ等の二枚貝がこれらの毒を持つHABを体内に蓄積する。そのため,自治体の水産部局や生産者は,常時,海域におけるHABの濃度や貝の毒化を監視しており,異常時には出荷停止などの対策を講じている。(引用:環境問題基礎知識 赤潮 :国立環境研究所)



フロリダの赤潮


鹿児島湾で発生した赤潮が湾内で渦を巻いている様子:人工衛星 だいち(この場合はプランクトン赤潮?)

by internalmedicine | 2007-01-17 14:29 | 呼吸器系  

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