COPD急性悪化時の procalcitoninガイダンス治療

以前も触れたが、CRPはTNFαやIL-6より肺炎の臨床マーカーとしては優れている(Chest, Vol 108, 1288-1291)。しかし、CRPはレントゲンの浸潤影・細菌学的ものとの判断する上では感度が良くなく除外できないし、特異性も悪い。診断検査としての方法論的Qualityも一般的に悪い。CRPを抗生剤処方の迅速ガイダンスとすることは推奨できない (BMJ 2005;331:26 (2 July)・・・とのことである。

しかしながら、今後議論が行われるだろうが・・・現在の日本のガイドラインでは肺炎などの治療においてCRPを効果判断の指標にしている。

COPD急性悪化時の抗生剤にprocalcitoninを利用してその判断のガイドにしたときに、通常のガイドラインに基づく判断より、抗生剤処方&抗生剤総量が減り、アウトカムには影響を与えなかった。

Antibiotic Treatment of Exacerbations of COPD
A Randomized, Controlled Trial Comparing Procalcitonin-Guidance With Standard Therapy
(Chest. 2007;131:9-19.)
208名の連続したCOPD急性増悪入院必要患者をprocalcitoniガイド治療と標準治療にランダムに分けたもの

procalcitoninガイド群は
・抗生剤処方減少(40% vs 72 % p<0.0001)
・抗生剤暴露も減少 (相対リスク 0.56; 95% CI 0.43 ~ 0.73; p < 0.0001)

さらに
急性悪化時procalcitoninガイドは有意に6ヶ月眼までの抗生剤暴露を減少
(RR, 0.76; 95% CI, 0.64 ~ 0.92; p = 0.004)

臨床的アウトカムと14日目・6ヶ月めのFEV1改善は両群とも同様

6ヶ月以内で
・急性悪化率:0.62 vs 0.64
・入院率:0.21 vs 0.24
 次の急性悪化mでの平均期間(± SD):70.0 ± 46.1 vs 70.4 ± 51.9 日
有意差無し



プロカルシトニン・ガイダンス
Procalcitonin
<0.1 µg/L: 抗生剤中止推奨
0.1 ~ 0.25 µg/L: 抗生剤中止
0.25 ~ 0.5 µg/L: 抗生剤推奨
> 0.5 µg/L: 抗生剤強く推奨


ref.)
市中肺炎抗生剤使用・中止のガイダンスにPCT(プロカルシトニン)を・・・CRPは唾棄すべき?

by internalmedicine | 2007-01-23 09:41 | 呼吸器系  

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